こんにちは。井上雅未花です。
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というわけで、登録特典をお送りしていきます。
この特典が、あなたの画家活動・制作へのヒントになれば幸いです。
LINE登録特典①1回の展示で総額100万円売った作品集
冒頭にも貼りましたこの画像、ズバリ展覧会で売り上げた作品が明記された伝票です。
この伝票の取引先は広島の百貨店のもので、赤線の引いてある部分がお買い上げいただいた一点物の絵画作品です。
百貨店だと、ポイントカードなどの独自の割引制度で定価額が変動することもあるので、赤文字で定価額を表記しています。
1回の展示ということで展覧会の期間は一週間なので、厳密に言えば一週間で100万円を売り上げた作品たちですね。
実際にプロの画家がどんな作品を売って売り上げを立てているのか、意外とそれを知る機会はあまり多くはないと思います。
あなたがこの先『1回の展示で100万円分の絵を売る』ということをイメージしやすくなるように、具体例として私がどんな作品を販売したのかをこの特典でコッソリ公開します。
この展示では5点で100万円超えでしたので、この5点の作品がどんなものだったのか、作品制作内での戦略と作品のコンセプトも交えつつ解説していきます。
①翡翠玉-ラベンダー-
②虎の子
③誦える宝石
④智慧者の庭
⑤寝猫昧(ねにゃんまい)
一週間で100万円①翡翠玉-ラベンダー-
①翡翠玉-ラベンダー- 58×46㎜ テンペラ・箔
¥82,000(税抜き)
まず1枚目の作品はこちらです。
作品サイズを見てもらえると分かるかと思いますが、手のひらに収まる小ささです。
技法はテンペラで、鳥の部分以外には銀彩箔(銀箔を染付けしたもの)を使用しています。
サイズがとても小さいので、図像はズバリ鳥の一点のみとシンプルな構図です。
描くことを作業として考える作家側はシンプルな構図の作品は一見カンタンそうに思えてしまいますが、これはかなり攻めの一手です。
なぜなら、作品を買うお客様側の観点から作品を見ると、その一点が魅力的に映るかどうかだけの一瞬で勝負が決まってしまうからです。わりと賭けに近いかもしれません。
みどり色の翡翠、ラベンダー色の翡翠として2枚の連作で制作したうちの1枚でした。連作で作品を制作すると、『作品同士を比較検討して選びたい』という買い手側の思考に自然と持っていきやすくなるのでこういった心理作用の働きを狙う戦略です。
例えば、1つの製品でもカラーバリエーションが豊富だったりすると選んで買いたくなりますよね?そんな感覚を起こしてもらうためですね。
モデルにした鳥はカワセミです。カワセミは漢字をあてると”翡翠(ヒスイ)”と書くので、宝石のヒスイとのダブルイメージで制作しました。
ヒスイの石言葉は「繫栄・長寿・幸福・安定」などで、この作品が飾られるご家庭にそれらの素敵なジンクスを呼び込めるようにとの想いも込めています。
ヒスイは一般的にみどり色を想像しがちですが、ラベンダー色のものもあります。↓
これが制作のヒントになりました。
一週間で100万円②虎の子
②虎の子 67×66㎜ 黄金テンペラ
¥85,000(税抜き)
お次2枚目はこちら。
この作品も大きさは手のひらサイズです。
金箔と黒箔という2種類の箔を使っています。金箔は磨いて図像は虎に+αの要素を加えていますが、こちらもサイズが小さいため、構図はわかりやすく真ん中にメインを据えています。
①の作品と同じ理由で”メインの虎をいかに魅力的に魅せられるか”を第一に描き込みをしています。裏を返せば、虎が良く見えなければこの作品はアウトということです。
このようなわかりやすくシンプルな構図の作品は良し悪しの売れる・売れないの線引きがぱっと見の判断ではっきりしやすいです。
(=売り物としての完成度があるかどうか)
描いたのは虎の子どもです。この虎を描いた理由はいくつかありますが、制作で意識している2つ重要な理由があります。
①新作をお披露目する場所との関連性を持った作品を用意する
②時節・季節
この作品で当てはめていくと
①大阪の百貨店が予定だったので阪神タイガースにちなんでのトラでもあること
②来年の干支が寅年であることを見越して
①は会場へのサービス精神みたいなものもありますが、自分が普段描かないようなモチーフを選ぶとバリエーションが必然的に増えるので、売れなかった場合でも結果的に他の主力作品を引き立ててくれたりします。
②は特に、絵をコレクションするコレクターさんは季節ごとにも絵を架け替えて楽しむ習慣を持っている方が多いためです。
また、そうでなくともお客様の中には自分や家族の”干支のもの”を集めたり探しているような方も多いので、特に動物画を得意とする作家は狙いやすいポイントでもあります。
そして、虎の子といえば『大切にして手放さないもの』『とっておきのもの』という慣用句として使われる言葉でもあります。
この作品を所有する人にとっての、小さくても堂々とした『とっておき』の作品でありたい、そんな作品を生み出したいという気合いを込めた1枚でした。
一週間で100万円③誦える宝石
③誦える宝石 120×82㎜ 黄金テンペラ
¥91,000(税抜き)
そして3枚目です。
この作品でようやく10㎝を越える大きさが出てきました。
鳥の背景は金箔で、金を磨いた上にタガネを使って一点一点打ち込みをすることで文様を描いています。
絵を描くだけではなく工芸的な要素も組み合わせることで、より強く一点物の作品としての魅力を持った1枚に仕上げています。
こうした複製画などにはしづらいような”もの”として作品を所有する喜びを感じてもらいやすい作品づくりの”仕掛け”は、一点物を売っていく画家の戦い方の1つでもあります。
自分だけにしかできないようなオリジナリティのある技法や作品のスタイルがある作家さんが強い観点ですね。
モデルの鳥はブッポウソウです。漢字をあてると『仏法僧』というありがたい響きのある鳥さんです。
そして、鳥には鳥言葉というものがあるのですが、この鳥の鳥言葉は『真理』とまたカッコいいのです‥この美しい姿で。
鳥に背負わせた文様は草花のホトケノザを模しています↓
ブッポウソウを”美しい宝石のような姿で真理を説いてくれる有り難い存在”として完成させた1枚でした。
一週間で100万円④智慧者の庭
④智慧者の庭 223×150㎜ 黄金テンペラ
¥350,000(税抜き)
この作品は少し特殊で、3つのパーツを組み合わせて制作しています。絵画=平面 + オブジェ=立体 の2つの顔を持った作品にする、これもまた1つの”仕掛け”の方法です。
作品サイズはSM額縁(内寸227×190㎜)に収まるほどなので、大きくはないのですが実際にはF6号額縁(内寸410×318㎜)に納めることで全体の大きさを出しました。
作品の制作方法の特殊さと、額装で全体の大きさを出すことで付加価値をプラスした価格設定にできています。
F6号~10号は一般的な家庭で飾ると見応えのする現実的なサイズ感ですが、”展示スペース等では小さく感じて物足りない”という麻痺を起こしている画家さんは多いです。
実際は百貨店やギャラリーで展覧会を開いて作品を売っているプロの画家が出品するサイズとして主戦力になる大きさです。
加えて、かなりオーバーサイズな額縁に納めるもう1つの理由としては、作品の複雑な形をキレイに見せるようにするための演出です。
額装は作品の明暗を分ける、かなり重要な要素の1つです。
”作品が良くても額がイマイチだから手が出なかった”ということも実際にあるくらいです。
プロの作り手側として持っていたほうがいい観点として、
①『屋内に飾りやすいかどうか?』
②『インテリアとしてどうか』
この2つは額縁を選ぶ際の目の付け所としては意識したいところです。
額縁のデザインはもちろん、作品の大きさに対して選ぶ額縁の幅の大きさも仕上がりに大きく影響します。
自分の作品に合う額縁の感覚が掴めないうちは、額屋さんでプロに相談するのも一つの方法です。
智慧の神の遣いを頼りに小動物たちが集う世界です。3つのピースから成るこの作品の形は、中世ヨーロッパの祭壇画からインスピレーションを得たものです。
ミミズクは動物(鳥)としてではなく、精神的支柱のような存在として描いた1枚でした。
一週間で100万円⑤寝猫昧(ねにゃんまい)
⑤寝猫昧(ねにゃんまい) 250×341㎜ 黄金テンペラ
¥400,000(税抜き)
作品サイズ自体は約F6号サイズで、額縁はF8号(内寸455×380㎜)に納めました。
④の作品と同様に、作品の形をキレイに見せるための演出と、サイズ感の調整をして価格を設定するためです。
絵画の販売市場では号数計算(1号あたり〇円×号)が一般的ですが、私の場合は作品が規格サイズではない不定形なので独自の価格設定をしています。
とはいえ、作品サイズが大きくなるほど値段が高くなるのは号数計算の場合と同じです。
…が、ここまでの①②③④までの作品の価格でお気付きかと思いますが、私は大きい作品のほうを割安に、小さい作品を割高にしています。
というのも簡単な話、単純に大きくて値段が高い作品のほうが売れづらいからです。
金額面はもちろんですが、実際に絵を飾りたいと思っている方の全員が広いスペースや壁のある家屋を所有している方ばかりではないからなんですね。ちなみに、都市部ほど顕著です。
この作品は猫が1日中寝ている姿を見て、それが羨ましいなぁという気持ちが発端になって制作した1枚です。
夢見心地なふわふわとした場所でくつろぐ猫たちのように無防備なまま、ありのままでいることだけが許されるような優しくて静かな理想郷を描きました。
こちらも祭壇画をイメージした形になっています。
まとめ
いかがでしたか?こんな感じの5点で合計100万円でした。
『自分が描きたいものを描く』ということは大前提ですが、同時にそれぞれの作品を制作する上でどんな要素や戦略をもってして売り上げに繋げるかも考えながら制作しているわけなんですね。
この特典では実際に売れた絵についての解説を元に、そのほんの一部を打ち明けてみました。
主に
・作品の完成度
・1点物の”もの”としての強み
・絵のサイズと額縁
・価格設定
などですね
100万円分の絵を売ることは、おさえるべきポイントを知って自分の作品制作と売り方に落とし込んで実践していくことで十分可能です。
この内容が少しでもあなたの中に気付きをもたらしていたら嬉しいです。
また次の特典でお会いしましょう!
ありがとうございました!