【あなたにとっての売れる絵を考える➀】講義-第2回-売れやすいジャンル/避けるが無難ジャンル
講義第2回の今回は売れやすいジャンル/避けるが無難ジャンルです。
今回は絵を売るために頭に入れておいてほしい市場での知識です。
絵には様々なジャンルが存在しますが、日本で実際に売れているジャンルはわりと限定されています。
そして、売れやすいジャンルがあるということは、当然売れにくい、避けたほうが無難なジャンルも存在します。
今回の講義内容を知って、自分の絵のジャンルと市場の需要(ニーズ)との距離感を測りましょう。
自分の描きたい絵がその”売れやすいジャンル”に該当するかどうかはもちろんですが、もし該当しなかった場合、どう対応・工夫するかを考えるきっかけになるはずです。
というか、むしろそれが重要です!!
早速いきましょう。
講義-第2回-売れやすいジャンル/避けるが無難ジャンル売れやすいジャンル:前提として具象絵画が中心
日本で売れやすい絵画は前提として、主に具象絵画です。
なのでこれから紹介する売れやすいジャンルは全て具象絵画のジャンルとなります。
ちなみに具象絵画の反対は抽象絵画となり、現時点では売りにくいジャンルです。
抽象絵画がダメというわけではなく、単純に広く日本人の美術教育が抽象絵画を読み解ける領域に達していないのが大きな理由です。
正直、抽象絵画に対しての良し悪しを判断できない、わからないから近寄らない、だから買わない…。となってしまう人が多いです。
しかし、まったく売れないかと言えばそんなことはないです。
逆を言えば、抽象絵画はいくらでも工夫やさらに良くしていく方法、もっと売れることも含めてかなり可能性を秘めているジャンルです。
講義-第2回-売れやすいジャンル/避けるが無難ジャンル売れやすいジャンル➀風景画
風景画は売れやすい絵画の鉄板です。
日本で一番売れている絵画のジャンルです。
多くは建物や街並み、自然などを捉えた作品で、最もクセがなくインテリアとして飾りやすいジャンルでもあるのが好まれる大きな理由でしょう。
単純に巨匠クラスの画家を含めて、このジャンルの絵を描いている人口が多いというのはありますね。
風景画は家屋の中で”別世界へ連れて行ってもらえる窓”みたいな感覚で飾りたい方が多いです。
絵手紙やポストカードに風景が多いのはその土地の風景と思い出をセットにして誰かにおすそ分けする感覚だと思うのですが、作品の風景に自分の心象風景を重ねるとでも言いましょうか、、、売れていく風景画の作品もそれと近い感覚で購入に至るケースが多いようです。
要するに、他人同士であっても一番共感と理解がしやすい、分かりやすいジャンルと言えます。
講義-第2回-売れやすいジャンル/避けるが無難ジャンル売れやすいジャンル②美人画
美人画もとても人気があります。
日本の歴史から見ても納得ですよね。
最近では美少年の需要もちらほら感じるようになってきましたが、依然としてモチーフで強いのは圧倒的に女性です。
時代感が色濃く出るジャンルで、その時代ごとの流行りの装いや顔つき、技法が反映されいるところも見どころであり、面白いです。
流行りの画家が出てくると、みんなこぞってその作品の顔つきをちょっと意識して真似る画家が一定層いるのが分かりやすいです。(笑)
特に独身の男性や、銀座の画廊巡りをして自分のお給料の手が届く範囲で作品をコレクションしていく”サラリーマンコレクター”と呼ばれる層に絶大な人気があります。
美人画専門の画廊の企画展ではかなりの人数の作家を集めて一挙に様々な美人画が鑑賞できる展示が毎週行われていたりします。
それゆえになかなか競争が厳しいジャンルではありますが、”自分の顔”を覚えてもらえると強いジャンルでもあります。
知り合いの画家さんでは化粧品メーカーの広告に使われていたりと、メディア媒体との相性も良いジャンルです。
講義-第2回-売れやすいジャンル/避けるが無難ジャンル売れやすいジャンル③動物画
動物画も売れやすい題材の1つです。
ただ、人によっては好き嫌いがハッキリと分かれるところで、どの動物を描くかにもよるところが大きいジャンルです。
その時の流行り廃れがモチーフ選びに及ぼす影響はそれなりに大きいですね。
昨今の猫ブームは凄まじいです。
歴史的、今日の市場的に見ても多くに好まれやすく、売れやすいのは、生活圏内で見ることの多い動物です。
日頃見慣れているものは親しみがあって共感できるため分かりやすく、買う側の良し悪しが判断しやすいからです。
また、動物画はペットの肖像画という方向からの需要もあります。
お客様が飼っているペットと同じ種類の動物の作品があったりするとそれがヒットを生むので選択肢は広いですが、ある程度”これ”という自分の得意な動物を絞ってスタートするのがおすすめです。
講義-第2回-売れやすいジャンル/避けるが無難ジャンル売れやすいジャンル④静物画
こちらも歴史のあるジャンルで”ザ・絵画”ですよね。
風景画と同様に、インテリアとして取り入れやすい面が大きいです。
特に植物や花、果物などは必然的に鮮やかな色を使うことになるので男女関係なく好まれるジャンルです。
一般家庭以外の商業施設などに飾るために購入されるお客様も多いです。
特に草花は季節や旬があるので、いくつか所有して掛け替えて飾りたいというお客様の需要も高いですね。
草花は明らかに見栄えのする切り花系の花から、野草の花まで多種多様なのでどの種類を選んで描くかは作品のコンセプトによるといったところでしょうか。
とはいえ、やはり分かりやすくキレイな花・・・バラやボタン、シャクヤク、桜などの知名度がある種類は作品にしても売れやすいです。
講義-第2回-売れやすいジャンル/避けるが無難ジャンル売れやすいジャンル➄縁起物(神様・仏様も)
日本人は八百万の神を信仰しているからなのでしょうか、ゲン担ぎが好きというか・・・。
好んで選ばれるお客様は多いです。
実際に作品を見て気に入ったから買うというのは大前提としても、日本人の識字率はほぼ100%、絵を買う層はさらに文学的な意味合いも気にして作品を見て判断する傾向があります。
これは美術館へ行くと作品の成り立ちを解説する文章や音声ガイダンスがあると思いますが、その内容を気にするのと似た感覚です。
画像は私のフクロウの作品ですが、このフクロウも縁起物として好まれる題材の1つです。
例えば、
フクロウ=”不苦労(ふくろう)”苦労しない日々を送る
カエル=”無事帰る(かえる)”平穏無事
梅=”どんな花よりも先駆けて咲く”春を告げる、豊かな暮らし
などなど、日本古来からの縁起物や、海外のものを含めると数多あります。
宗教画や神様も入ってきますね。
風景画でも著名人が訪れて同じ景色を見ていて云々・・・とかそんな所縁のある場合はここに入ってくる感覚です。
自分の描きたい絵のジャンルに沿ったモチーフが見つかればわりと簡単に取り入れられると思います。
講義-第2回-売れやすいジャンル/避けるが無難ジャンル避けるが無難ジャンル➀エロ(露骨なヌードなどエロティックな見た目)
このジャンルに該当する作品のみを集めて企画展をする会場も中にはありますが、かなり狭い閉じた世界です。
まず展覧会が出来る会場が限られますし、そこからさらに絵を買う層へアプローチするとなるとさらに狭くなるので他を狙うほうが得策です。
知り合いの作家さんにまあまあなヌード(エロ)を描いている方もいますが、これ一本というわけではなく、あくまで作家性の1つの引き出しとしてです(専門は風景画)。
そういった副次的なものでならアリですね。
講義-第2回-売れやすいジャンル/避けるが無難ジャンル避けるが無難ジャンル②グロ(グロテスクな見た目)
これはもう、単純な理由です。わざわざ家の中に飾る絵でこれを選ぶ人は圧倒的に少ないってことですね。
このジャンルも展示ができる会場は限られますし、需要は決して高くはないので「どうしてもこのヴィジュアルとジャンルは譲れない!」って方だけどうぞ・・・・。
ただ、ひょっとするとここに入りそうなもので気を付けた方がいいものを挙げておくと、「昆虫」です。
実際に展示をしてみて反応を確かめるのがベストではありますが、昆虫も大丈夫なものとやめておいたほうがいいものの線引きは確かにあります。
私が実際の展示の現場で立ち会ったときの肌感覚では、カブトムシ、クワガタがギリギリのラインで、ミツバチは良くてスズメバチやクマバチはやめといたほうがいいというニュアンスです。
他の生き物だと、トカゲやカエルがギリギリという感じですね。
特に一般的な女性が無理だなと思うラインはやめておいたほうが無難と言えますね。曖昧なのですが…。
洋服、着物の柄やジュエリーに虫のモチーフが取り入れられていたりしますが、そのレベルであれば絵画でも受け入れられるモチーフだと思うのでそのあたりを参考にするのが手っ取り早いです。
昆虫の中でも蝶やトンボは好まれるモチーフですね。
講義-第2回-売れやすいジャンル/避けるが無難ジャンル避けるが無難ジャンル③戦争(原爆などを彷彿とさせるもの)
これも良い悪いなかなか色々な考え方捉え方難しい内容で避けたほうが無難な内容です。
実際に画家仲間で、作品のタイトル名で「ATOMIC BOY」のような原爆や戦争を彷彿とさせるものは会場側からNGが出ていました。
その作品の内容は露骨な戦争のワンシーンみたいなものとはかけ離れたものでしたが、裏を返すとそれだけ作品に付けるタイトルも重要ってことですね。
会場によって出せる・出せないの判断はまちまちかもしれませんが、売りやすい、売れやすいのニーズを考えた時に実際に買う人は少ないという点でも避けるのがベターと言えます。
講義-第2回-売れやすいジャンル/避けるが無難ジャンルまとめ
お疲れさまでした。
いかがでしたか?
今回は
売れやすいジャンル/避けるが無難ジャンル
をお送りしていきました。
あなたの描きたいと思っている絵のジャンルに関連するものはありましたか?
もしなかった場合でも、この中に無いから絶対に売れないというわけではないです。
あくまでも、「市場の中で絵を買う人が買いやすい」=”売れやすい”ということでピックアップしています。
避けたほうが無難なジャンルも絶対にダメ!というわけではないのですが、展示場所を選ぶのが一番のネックですね。
ではまた次の講義でお会いしましょう!
以下から今回のワークです。
講義-第2回- ワーク
今回のワークは、あなたにとっての売れる絵を想定し、考えて制作をしてみる『あなたの【描きたい】と【売れる絵】のイイとこ取り』です。
今回の講義の内容を元に、「あなたの描きたい絵」と「市場で売れやすい絵ジャンル」のイイとこ取りをした作品を作るための想定をして、実際に作品を1点制作してもらいます。
この想定では「売れやすい絵のジャンル」というお題を作品に加えることによって制作の自由度が狭まります。
それが窮屈に感じるかもしれませんが、その窮屈さをあなたの作品の工夫や進化をもたらす好機にしましょう!
今回も回答フォームを埋めて、画像を提出してくださいね。
●ワークのねらい●
・自分の作品と市場のニーズの落としどころを探る
・無理のない範囲で自分の作品を市場のニーズに寄せた制作をする
・あなたの作品のジャンルについて考えてみる
・あなたの作品のジャンルを固める
■ワーク実習の手順■
➀出題内容の回答を考える。
②回答した内容を元に作品の構想を練る。
③作品を1点制作する。
④出題内容の回答を、回答フォームに記入、送信。
⑤作品画像(最低1枚)をメール送付する。
※注意事項※
・あなたの作品に加える「売れやすい絵のジャンル」はどれを選んでもOKです。
・制作する作品の大きさは問いません(大きさは自由です)
・作品は実際に販売に出すことを想定して制作しましょう。
・額装の有無はどちらでもOK
※画像はメール添付で提出してください。
必ず氏名を忘れずに記入すること。(どなたの作品かわからなくなってしまいます(涙))
メール件名:【お名前〇〇〇〇 講義第2回ワーク回答】
画像提出はこちらメールアドレスへ↓↓↓
amikainoueart@gmail.com
最後はアンケートのお願いです。(あれば)
今回の講義内容での質問などもあればこちらにお願いします。
あなたやこの講座で学ぶ仲間にとって、充実した講座を作っていくためにあなたの抱えている悩みやギモンをぶつけてもらえると嬉しいです。
(※講義内容の参考にさせていただきます。)
※ワークへのコメント・添削返信は回答と画像の提出が全て揃った方から随時行います。
(返信目安は1週間前後)※
※セルフスタディコース【SSC】の方はワーク提出不要です※