【あなたにとっての売れやすい会場を見つける➂】講義-第16回-営業用のポートフォリオ・資料を作る
講義第16回の今回は営業用のポートフォリオ・資料を作るです。
さて、現場のリサーチをしていいな~という場所ができたら今度は実際にいよいよ営業をかけたり、展覧会を企画したりというところに入っていきたいのですが・・・
そのためにはいきなり自分だけ行って「やりたいです!!」と言うだけじゃダメですよね(^^;)
先方はあなたがどんな作家さんで、どんな作品を制作していて展示をしたいのかが分からなければ判断ができないわけです。
今回は先方にあなたという作家を紹介して判断してもらうためのポートフォリオや資料の作り方にスポットを当てていきます。
ではでは、早速いきましょう。
講義-第16回-営業用のポートフォリオ・資料を作るそもそもポートフォリオとは?
ポートフォリオとはスペルでportfolio、【複数の書類をひとまとめに持ち運べるケース】の意味らしいです。
私達のような画家やクリエイターが実績をアピールするための「作品集」という意味で使われることが多いです。
しかし、ポートフォリオという言葉は実際には私達の現場以外の業界でも使われていて、その場合にはまた少し違った意味で使われているようです。興味があれば下記リンク先もどうぞ↓
要するに、私達は会場スタッフさんや画商さん、お客様にアピールするための材料として使います。
この1冊で、どんな作品を、どんな事を考えて、どんなふうな展示を、どんなところで、どれだけやっているのかを伝えられるとベストです。
講義-第16回-営業用のポートフォリオ・資料を作るポートフォリオの一般的な形式
ポートフォリオの一般的な形式はA4プリント/ファイリングです。
ファイリングをしたファイル本体の背表紙にテプラで作った名前シールか、タックシールに名前を書いて貼りましょう。背表紙で作家名が分かるようにしておいて、ファイルを整理して並べた時に手に取ってもらいやすくするためです。「こんな作家さんもいたっけなぁ」と。
ファイル本体がクリアでない、表紙が透けて見えないタイプのものの場合は表紙にも名前シールを貼っておいたほうが良心的です。
PCを使ってソフトがある人はPhotoshopやillustratorなどで作ったりするのが一般的です。PC・ソフトが無い場合はスマホアプリ等でも工夫すれば十分に作れると思います。(ワーク課題にあるリンク先も参考までに)
営業用と自分用とで物量を変えて作り分けをしていいと思います。
基本的に営業用では先方に資料として渡してしまう(あげる)ので、そのあたりのことを踏まえた作りにしてあげるといいでしょう。
自分用は展覧会の会場に閲覧用として置いておくためにも作っておくといいです。
営業用なら…ファイルのポケット数は10~25ポケットくらいで比較的コンパクトにまとめる(裏表で20~50枚入る)
自分用なら…ファイルのポケット数はいくらでもどうぞ(笑)
講義-第16回-営業用のポートフォリオ・資料を作るポートフォリオ内に入れる必須項目 13点
➀表紙/作家名(ローマ字・フリガナ入り)
→業者さんはたくさんの作家のポートフォリオを抱えていたりします。誰のポートフォリオなのか一目でわかるようにしておくと良心的だと思います。
②肩書き(技法やジャンル)
→これも名前と一緒に明記しておくとなんの作家なのか一目でわかったほうがいいです。
➂作家顔写真
→できれば顔がはっきりわかるものが望ましいです。後ろ姿とか暗くて顔が良く分からなかったりするのは微妙で、相手に顔を覚えてもらえないのでイマイチですね。「仕事をするための自己紹介」と考えて意識すれば感覚でわかると思います。(でも写真嫌いの人の気持ちはめちゃわかります(^^;))
➃作家略歴
→➂作家顔写真を同じページに入れると自然です。
→出身地は絶対に入れましょう。できれば市区町村まで。先方やお客様と地元が同じ・同郷なのが分かると、そこからお仕事や応援・ご縁が生まれるきっかけに繋がる可能性がかなりUPするので不都合がなければ入れておくほうがベターです。
→生まれ年は自由ですが、これもわかると先方やお客様との話題で打ち解けて良い方向へ持っていくための材料になったりします。
→自分用のは全ての展覧会歴を載せておきましょう。営業用のはある程度かいつまんでもOKです。
→会場名や場所は必ず表記しましょう。あなたがどんな場所で普段展覧会をしているのか先方に知ってもらうためです。展覧会名はどちらでも。
→展覧会名を省く場合は【個展】【グループ展】【3人展】などの表記をしましょう。これもどんな規模の展示経験があるかを測る指標になります。
⑤作家連絡先(名刺でもOK)
→メールアドレス/電話番号/住所(差し支えなければ)/各種SNS(Instagram/Facebook等)
→名刺にまとまっている場合は名刺を入れてもOKです。両方あるとなお良し。
→これがないと、仕事を頼みたくても頼めない!となってしまうので絶対忘れないようにしましょう。
➅アーティストステートメント(美術の史学から見た自分の作品の学術的価値の論述)(あれば)
→詳しくは次回で取り上げます。(第17回)
→⑦で個別に入れているコンセプトとあまり変わらないですがちょっと違います。正直これは私も最近まで解釈を間違えていたくらいで、それでも作品を販売して売り上げを立てることに対しては無くても問題ないです(^^;)とはいえ、あったほうが自身の作品の価値を自分の思いとか欲目を入れずに提示できるので強いとは思います。
→特に公募コンペや海外留学系の助成金をゲットするときなんかには必要になる場合が多いです。
⑦作品コンセプト(制作コンセプト)※ここに技法についてあれば入れてもいい
→ワードなどでベタ打ちしたものがA4 1枚入っていれば十分だと思います。もちろん語れるだけ語ってもOKです(笑)
→アーティストメントと同様にこちらも最悪無くてもどうにかなりそうですが、【仕事】という視点でいくと、コンセプトが無いということは、【その仕事に関しての信念や思いが無い】と捉えられるリスクの可能性も無くはないということです。特に営業用のものには絶対入れておきたいですね。
⑧作品画像
→作品の画像/作品のスペック(タイトル・技法・サイズ・制作年)は最低限入れましょう。作品1点ずつのコンセプトはあると丁寧ですが、そこまで入れると営業用のものはコンパクトにできないので最低限の項目のみでいいと思います。(自分用のものにはOK)
→沢山画像を載せたい場合、営業用のものは1枚に2~3枚載せてしまってもいいと思います。
→売約済みの作品には赤〇シールを付けておくと在庫が分かりやすくなるのでぜひやりましょう。
→ちなみに私の自分用(会場に置いたりする)ポートフォリオの作品画像はこんな感じで載せてます。
⑨展示・展覧会風景写真
→実際にどんな雰囲気の展覧会をしているのかの参考になってくれて、あなたの活動実績を視覚的に想像してもらいやすくなります。展覧会をしたら展示風景を撮影する習慣は身に付けておきたいですね。
⑩作品価格表
→先方に大体どのくらいの金額で作品を販売しているのか、一目でわかってもらえるよう先にこちらから提示しておいたほうが圧倒的にトラブルの発生も防げます。
→作品の受注オーダーもこれがあると無いとでは圧倒的に事がスムーズに運ぶかどうかが変わってくるので絶対に作りましょう。
⑪メディア掲載記事 等 (あれば)
→ある場合には載せると権威性が上がるので絶対入れましょう。新聞や雑誌の場合には切り抜きかコピーで。特に新聞は日付の部分も込みで入れましょう。雑誌なら表紙画像とページ数も添えられると最高です。
→テレビやラジオの場合にはそのときに撮影した写真や画像などと番組名を添えておきましょう。
⑫ワークショップや作家としてのその他活動 等(あれば)
→あればでOKですが、あると仕事の幅が拡がるチャンスをゲットできる可能性が高くなるものでもあります。
→自分が写っているワークショップの様子などの画像/どんなことを/いつ/どこでしたのか/を添えてまとめてあるといいですね。
⑬過去・直近の展覧会DM(あれば)
→こちらもあればでOKですが、【自分の作品画像が載っているもの】【ちょっと良い会場(有名な会場とか)でやっているもの】が望ましいです。
講義-第16回-営業用のポートフォリオ・資料を作るファイリングする内容の順番
これは先程紹介した13点の順番通りでOKです。↓↓
➀表紙/作家名(ローマ字・フリガナ入り)
↓
②肩書き(技法やジャンル)
↓
➂作家顔写真
↓
➃作家略歴
↓
⑤作家連絡先(名刺でもOK)
↓
➅アーティストステートメント(美術の史学から見た自分の作品の学術的価値)(あれば)
↓
⑦作品コンセプト(制作コンセプト)ここに技法についてあれば入れてもいい
↓
⑧作品画像
↓
⑨展示・展覧会風景写真
↓
⑩作品価格表
↓
⑪メディア掲載記事 等 (あれば)
↓
⑫ワークショップや作家としてのその他活動 等(あれば)
↓
⑬過去・直近の展覧会DM(あれば)
⑤作家連絡先は一番前か一番後ろに名刺を入れる、略歴の下に入れ込んでしまうのもアリです。
➀~⑩はなんとか全部頑張って入れたいですね・・・!しかしまぁ、⑦があれば、➅は無くても現場で絵を販売する活動においてはそんなに支障はないです。
講義-第16回-営業用のポートフォリオ・資料を作るまとめ
お疲れさまでした。
いかがでしたか?
今回は
営業用のポートフォリオ・資料を作る
をお送りしていきました。
最後のまとめで言うのもアレなんですが、究極言うと、ポートフォリオに絶対の正解はありません。
ポートフォリオから”あの作家さんってあんな絵とか活動してたよなぁ”とか、”ウチで取り扱ってみたいな”と思われるようになるのが理想ですし、できる限りあなたの作家性の魅力を伝えるということが大切です。
ポートフォリオを作ってみるにあたって初めて作る方は特に、今までの制作や展示に関することで経験してきた取り組み(キャリア)を今一度振り返ってみて纏めるいい機会にもなると思います。
ダヴィンチだって”私はいろいろできます!建築・発明・絵画制作・数学(解剖学・天文学・土木工学・工学・流体力学)”って感じでパトロンたちに営業していたわけですしね。
次回はさらにポートフォリオ・資料についての【発展/深堀り】として押さえておきたいアーティストステートメント(自己紹介文)についてと、企画書についてです。
また次の講義でお会いしましょう!
以下から今回のワークです。
講義-第16回- ワーク
今回のワークは、『作家紹介資料を作ってみよう』です。
講義内容を踏まえた内容で早速!といったワークです。
こういったものは会場をどこにしようか、とか次回の展覧会まで時間があったりして余裕があるときにしっかり準備して必要な時にサッと出せるよう用意しておくのが最高の使い方です。
これは自戒を込めて言うところではあるのですが(汗)、資料は”言われてから作る”じゃなくて”すでに用意してあります・スグお送りできます”という状態がベストです。
ひょんなことから展示の話が舞い込んで、「よっぽど怪しい作品と作家性(とか素性)じゃなければ話が早い作家にお願いしよう」という感じで仕事が決まることはけっこうあったりします。
資料はそんな時や、先の仕事をゲットする際の種蒔きとして使えるわけです。
今回作った資料はそのまま知り合った画商さんや展覧会開催関係者にポートフォリオ1冊よりも気軽に簡潔に自己紹介するために配れる・送れるアイテムになるので、ぜひ挑戦してみましょう。
今回の資料作成に必要な必須項目は以下に記してあります。
添付してある私が作って貰った資料を参考にして作成してみてください(^^)
※今回のワーク内容はメール添付提出となるので、フォームからの送信は質問や感想があればでOKです。
●ワークのねらい●
・展示やお仕事をゲットするための営業や自己紹介の場で、実際に使用できる資料を作る
・実際に使用する”必要な場面”に備えて準備しておく
・名刺よりも一目で簡潔にわかる作家としての自己紹介をするつもりで作成する
■ワーク実習の手順■
①出題内容の資料を作るための必須項目の内容を考える。
➁それぞれの項目を材料として揃えたら資料を作成。
➂出来上がった作家紹介資料をメール添付で提出。
※注意事項※
・必須項目が入れ込めていれば、レイアウトは自由です。
・私の見本はPDFファイルですが、他のファイル形式での作成でもOKです。
・印刷してそのまま渡せる資料として、データとしても先方へメール添付できるものを目指しましょう。
・A4×3枚くらいでまとまっていると◎
・PCがない!ソフトがない!という場合は、スマホ・タブレットアプリで工夫すれば使えるものがあるので以下↓のサイトを
参考にしてください。
・文章作成アプリおすすめ9選:スマホで文章を編集できる人気の無料アプリとは?
(Word・Pages・Evernoteあたりが良いかなと思います)
※資料はメール添付で提出してください。
必ず氏名を忘れずに記入すること。(どなたのご提出かわからなくなってしまいます(涙))
メール件名:【お名前〇〇〇〇 講義第16回ワーク回答】
画像提出はこちらメールアドレスへ↓↓↓
amikainoueart@gmail.com
最後はアンケートのお願いです。(あれば)
今回の講義内容での質問などもあればこちらにお願いします。
あなたやこの講座で学ぶ仲間にとって、充実した講座を作っていくためにあなたの抱えている悩みやギモンをぶつけてもらえると嬉しいです。
(※講義内容の参考にさせていただきます。)
※ワークへのコメント・添削返信は資料の提出が全て揃った方から随時行います。
(返信目安は1週間前後)※
※セルフスタディコース【SSC】の方はワーク提出不要です※