【展覧会の準備方法を知る➁【作業タスク編④】】講義-第25回-額装と商品としてのパッケージング 後編(作業タスク⑧・⑨)
講義第25回の今回は額装と商品としてのパッケージング 後編です。
今回は【講義-第22回-手堅く売れる画家の展覧会準備必須タスク一覧】の⑧・⑨にあたるタスクです。
前回に引き続きの額装パートです。額装やそのための備品(黄袋や差し箱)を一式揃えて整った状態が「正装」だと解説しました。
作品を販売するためには描いて描きっぱなしにするのではなく、「商品」として責任を持ってしっかりと体裁を整えて送り出せるかたちにする必要があります。
今回はその「正装の仕上げ」とも言うべき作業タスクになります(^^)
この額装のパートは前後編で解説していますので、今回は後編の⑧・⑨、前回は前編④~⑦を合わせて参照してくださいね。
前回講義【講義-第24回-額装と商品としてのパッケージング 前編】
ではでは、早速いきましょう。
講義-第25回-額装と商品としてのパッケージング 後編(作業タスク⑧・⑨)⑧裏貼りを用意して額裏と差し箱へ貼り付ける
裏貼りは、一目でわかる作品情報を記入しておくものです。
画僧は実際に私が額縁裏と差し箱へ貼り付けている裏貼りです。
記す内容に絶対的な決まりはありませんが、裏貼りの必要性を考えると作品のスペック+サインである必要があります。
記す順番も自由ですが、次の➀~⑤の内容は最低限書き記しておきましょう。
➀作品タイトル
➁制作年
➂作品サイズ(F3号とか)
④技法や材料
⑤作者名(サイン)
裏貼りは売っているタックシールなどを活用するといいでしょう。
丈夫とか、インクが滲まないとかそういうものだとけっこう良いですね。
シール用紙の形状もいろいろあるのでこれもまた自由ですが、私は作品サイズや額縁の形状によって3種類ほどを使い分けています。
シールに記入する際に使用するペン選びが重要です。ただの水性や油性インクのペンは避けてください。
裏貼りを直筆すれば作品と一緒でかつ、サインと同じ役目を果たします。劣化しにくい顔料を使った耐水性・耐光性あるのペンを使用しましょう。
私が実際に使っているのが画像のペンです。
上から、コピックマルチライナー、2本はサクラクレパス(ヌーベル) ピグマグラフィック です。
それぞれに細いミリペンタイプとブラシタイプ(筆ペン)と形状の違いや色も黒以外があったりと様々です。
(画像は上2本がブラシタイプ・下1本がミリペンタイプ)
色は黒がいいと思いますが、(セピアやブルーならアリかも)ペンの形状は書きやすいと思うものを選びましょう。
お次は裏貼りを貼り付ける位置です。貼り付けるのは全部で最大3か所なので、シールは3枚必要になります。
額縁裏は右下、差し箱(かぶせ箱)は画像と図を参考にしてください。
・・・差し箱側面は貼ってある方が良心的ですしまず間違いがないので貼るべきではありますが、作品サイズが小さいもの(~SMくらいまで)なら無くても大丈夫かなというのが肌感覚としてはあります。
管理の観点から言って、大作であればあるほど側面にもシールは貼るべきなのでまあ基本的には3枚用意することを念頭に置いておきましょう。
講義-第25回-額装と商品としてのパッケージング 後編(作業タスク⑧・⑨)裏貼り・箱への貼り付けは”管理のため”の慣習
裏貼りは作品の画面にサインをしない画家にとってはよりサインの役割を果たすと同時に、作品管理のために付けると言っても過言ではないです。
特に、作品タイトル・サイズ・作者名はお客様や会場スタッフが確認することの多い情報なので額裏・差し箱共に必ず記入が必要です。
会場で飾り付けをする際など、自分以外の人が作品を持ち出す場合も想定してタイトルは分かるようにしておくのが、トラブル回避のためにも重要です。
制作年も自分が在庫として管理する際に役立つので、書いておいて損はないですし書いておかないと自分でも忘れちゃうと思うのであったほうがいいですね。
講義-第25回-額装と商品としてのパッケージング 後編(作業タスク⑧・⑨)⑨売約作品と共にお渡しするDM+A4略歴1枚を三つ折りで封筒に入れて用意する
これがいよいよ最後の仕上げです。
画像は私が実際に最低限、用意しているものです。
「この作品の作者」がどんな作家(どこの誰)かわかるものを作品と共に同梱します。
これは作品に対しての責任を持つ、いわば家電製品などを買うと付いてくる説明書や保証書のようなものですね。
この3つ(最低でも➀と②)は必ず用意してください。
☆封筒に入れて用意するもの☆
➀展覧会DM
➁略歴書
※➂あなたの連絡先を記載した名刺など
➀展覧会DM
→今回の展覧会DMです。「この作品をいつ・どこの会場・どんな展覧会で購入したのか」が分かるように入れておきましょう。
➁略歴書
→略歴はあなたのキャリアが一目でわかるものになっていれば形式に厳密な決まりはないです。
とはいえ、略歴書はできるだけあなたのキャリアが分かるように情報を入れておいた方がいいです。
特に、今までの展覧会履歴はすぺて記載しておくといいでしょう。(自分も忘れてしまうので)
お客様が熱心な方の場合は結構読んでくれて、さらに関心を持ってくれる場合もあります。
簡単にPCのwordやメモ帳・スマホのメモなどにベタ打ちしただけのものでも特に問題はないですが、なるべく入れたい項目は以下4つです。
☆略歴書に入れるべき内容☆
・生まれ年と出身地(市区町村まであるとさらに◎)
・最終学歴
・これまでの展覧会履歴
・顔写真
生まれ年や出身地、学歴などは誰でもチェックしやすくて共感してくれて応援してくれるポイントになるのでできれば入れたいです。
できればA4用紙1枚に上記の情報をおさめられるとコンパクトでベストです。
※➂あなたの連絡先を記載した名刺など
→これはあればでもいいです。
とはいえ、連絡先は記載しておいたほうがいいのでメールアドレスかSNS、電話番号などをどこかに入れておきましょう。
作品に万が一のことがあった場合や、作品を気に入ってくれた先でオーダーの注文を入れてもらえる場合のチャンスを逃さないためです。
※ただ、女性作家さんの場合で連絡先などの個人情報を教えるのがちょっと怖いなあと思うお客様には、最低限の連絡先(インスタやFacebook)SNSのみでいいと思います。そのあたりは接客で見極めたいところですね。
A4用紙三つ折りが入る長3形の封筒がおすすめです。封筒裏には宛名はんこなどがあれば押しておくといいと思います。(私は押します)
最近は下のタイプ(横型)の封筒を使っていますが特に決まりはないので、合うものを選べばOKです(^^)
講義-第25回-額装と商品としてのパッケージング 後編(作業タスク⑧・⑨)額装・パッケージングをするからこそイイお値段が付けられる
額装してパッケージングをし、最後の仕上げまでを完了させてはじめて作品をお客様の元へ送り出していけるようになるわけで、この習慣が身に付くまでは結構な手間を感じると思います。
これらを用意するのは手間もですがお金もかかりますよね。しかし、それらをかけた分商品としての見栄えや特別感を演出できていること・持ち帰って(または届いて)スグに飾り付けられる(すぐに使える)状態になっているということにも大きな価値があるわけです。
”箱と黄袋も商品(作品)のうちである”という感覚を忘れないでください。
もちろんここでかかった経費(額代・黄袋代・差し箱代)も価格に乗せて計算しましょう。
(マージンにもよりますが、大体(額代+黄袋代+差し箱代)×2したもので経費回収できます。)
なんでも鑑定団で出てくる茶器や骨董の品は、その本体を保存していた木箱などの付属品の有無や、品質状態によって価値が変わってきますよね。
普段のスーパーで売っているカルピスや油が単体では数百円でも、贈答用としてキレイな箱や紙に包まれていたらやはりお値段はそれだけ上げられていますし、こちらも納得して買いますよね。
この2つのたとえは極端かもしれませんがそれと同じことが私達の作品の価値を底上げすることにもつながる大切な観点と言えます。
講義-第25回-額装と商品としてのパッケージング 後編(作業タスク⑧・⑨)まとめ
お疲れさまでした。
いかがでしたか?
今回は
額装と商品としてのパッケージング 後編(作業タスク⑧・⑨)
をお送りしていきました。
前回までの額装+黄袋+差し箱(正装)に、今回の裏貼り+作品と同梱する略歴類までをしっかりと揃えればこれで完璧に完成です。
作品自体が良いものであることは前提として、額装やパッケージングはその良さを引き出してさらにアップさせるものであり、作品をお迎えするお客様へできる作家側の最大限の配慮でもあります。
作品がお嫁入りした後、そのお客様にとっては「この作品=あなたという人」という感覚になります。最後まで気を抜かずに仕上げたいですね。
また次の講義でお会いしましょう!
講義-第25回-ワーク
今回のワークは、『作品を1点額装してみよう②』です。
今回の課題は、前回の第24回ワークと連動した内容になります。前回分と合わせてチェックしてから取り掛かるのをおすすめします(^^)
額装をしたことがない方はこれを機に!したことがあるよ~してるよ~って方はこれを機に未額装の作品を、または新作を1点額装し、パッケージングを完了させてみましょう。
自分で選ぶのはもちろんですが、この課題(特に第24回)に関してはできればプロのいるところ(画材屋さんや額屋さんなど)店頭へ行って相談しながら決めてみてください。
・自分の作品に合う額のデザインや雰囲気(見た目)
・技法別での額(デッサン・水彩・日本画・油彩画)
・特殊な額にするかどうか(箱額・正方形の額)
・マットの材質や厚み、特殊な枠のカット、幅をどれくらい取るのか
・ライナーの材質や幅、有りか無しか
・アクリル(ガラス)からどれくらい離した深さで絵を収めるのか(額の厚み・深さ(ドロ足))
今回の講義の最初でも触れたように、このあたりが実際にプロがいるお店に行くと相談しながら決めたりして額を作ることができます。
今後自分で額装をしたり、既製額を買って額装する場合に気にするべきポイントとして話を聞きながら、ぜひこの機会にお店で1点仕立ててみてください。
※このワークには下のフォームに必須回答項目はないので、額装する作品と額装済みの写真画像をメール添付で送信すれば完了となります。
(質問や感想があればフォームよりお願いしますね)
●ワークのねらい●
・正装(基本)のパッケージングを身に付ける
・作品1点をしっかりと額装して商品として最終完結させる。
・額装のプロ(業者さん)の意見をもらって、自分の作品を額装で映えさせるための気付きをゲットする(第三者視点からの作品を良くするヒントをもらいに行くつもりで行く)
・実際に販売されている額のデザインを直にリサーチして、どんなデザインや色のものが自分の作品に合うのかを考える機会にする。
・今後自分で額装する際の学びに繋げる
■ワーク実習の手順■
➀第24回と第25回のワーク内容を確認する。
②額装する作品を用意する。
➂額屋さんへ行ってプロ(業者さん)と相談、話を聞きながら額装する。
(どうしても無理な場合は既製額で合うものがあればそれでも・・良しとします!)
➃差し箱・かぶせ箱を用意する(買っても自作でもOK)
⑤黄袋を用意する(買っても自作でもOK)
➅今回額装した作品と額装済みの写真画像(第24回の内容)と
今回用意した差し箱・かぶせ箱に貼り付けた裏貼りと貼り付けた状態の写真画像(第25回の内容)
をメール添付にて提出。
※注意事項※
・なるべく額屋さん・画材屋さん併設の額縁コーナーでプロ(業者さん)と相談しながら額装しましょう。
・プロ(業者さん)の助言をもらったり、見立ててもらうことで第三者視点でかつ、額装を含めた作品を良くするための気付きを得る機会にするのがこの課題の目的です。
・第25回のワークと連動した内容ですが、このワーク単体で取り組んでしまってもOKです。
・額装する作品の大きさは問いません。(自由です)
・今後の販売や展示に出すことを踏まえた上で額装を考えましょう。
※画像はメール添付で提出してください。
必ず氏名を忘れずに記入すること。(どなたの画像かわからなくなってしまいます(涙))
メール件名:【お名前〇〇〇〇 講義第24回ワーク回答】
または、【お名前〇〇〇〇 講義第24・25回合同ワーク回答】
画像提出はこちらメールアドレスへ↓↓↓
amikainoueart@gmail.com
最後はアンケートのお願いです。(あれば)
今回の講義内容での質問や感想などがあればこちらにお願いします。
あなたやこの講座で学ぶ仲間にとって、充実した講座を作っていくためにあなたの抱えている悩みやギモンをぶつけてもらえると嬉しいです。
(※講義内容の参考にさせていただきます。)
※ワークへのコメント・添削返信は画像のメール添付提出が完了した方から随時行います。
(返信目安は1週間前後)※
※セルフスタディコース【SSC】の方はワーク提出不要です※