【展覧会での接客方法を知る①】講義-第36回- 画家が自ら行う接客の流れ
講義第36回の今回は画家が自ら行う接客の流れです。
これまでは展覧会開催までの準備方法を解説していきましたが、今回からは展覧会での接客についての内容に入っていきます。
ひと口に接客と言っても、なにをどうすればいいのかは作品販売においてはちょっと独特な部分があるかもしれません。
もちろん経験を積んでいけばそれぞれの肌感覚で判断できることも増えますが、まずはここでどんなことをしているのかの流れを把握してくださいね(^^)
ではでは、早速いきましょう。
講義-第36回-画家が自ら行う接客の流れ会場での接客の流れ
ここでは、私が会場にいらしたお客様に対して接客している流れをまとめました。一連の流れは➀~⑨までで完結します。
➀会場に入ってきた方へ軽く挨拶をする
→挨拶は「こんにちは」や「こんばんは」がいいです。
→「いらっしゃいませ」だどモノを売る商売っ気が前面に出てあまり上品じゃないのでおすすめしません。
➁挨拶と同時にDMを手渡す
→「よろしければこちらも(どうぞ)(ご覧ください)」とか「展覧会のご案内です」など添えると受け取ってもらえます。
→作家本人だと名乗れたらこのタイミングで名乗っておくといいです。(DMに顔写真があると気付いてもらえて楽です)
※→会場の前にいて中に入って来ていない人の場合にもDMを渡して「どうぞよかったら中もご覧ください」と一声かけられると◎
➂張り付かずに作品を鑑賞しているお客様の後ろに控える
→作品を鑑賞しているお客様を少し離れた後ろから観察します。
→人によって接客のスタイルは様々ですが、井上自身はまずゆっくり鑑賞をしてほしいタイプなので”間”を大切にしています。
④お客様が鑑賞をしていて、長く留まっているなと思った作品の解説をするために話しかける(セールストーク)
→早めのタイミングならここで具体的に話しかけていきます。(不安な場合はスルーもアリです)
→DMを手渡した際に作家本人だと名乗れていなかった場合は、このタイミングで本人だと名乗ると感動してくれる方は多いので必ず名乗りましょう。
→鑑賞していた作品についての解説をします。
⑤会場へのご来場のきっかけや、作品との関連した脱線しない程度のお客様の話を聞きだしたりしてコミュニケーションを取る
→作品解説のみだと作家側からだけの一方通行のやり取りになってしまうので、お客様の話を聞くことも重要です。
→”話を聞いてもらった”という要素も接客では結構大事です。(人には返報性の原理というものが心理的に働くので、これはバカにできません)
→ただ、無意識に話を聞いてもらいたくてとにかくいっぱい喋ってこちらを拘束してくる方も中にはいるので、作品自体との関連のある話題になるべく留めるのが無難です。
➅作品を鑑賞していて、2週・3週して足を留めてくれている作品があったらそのタイミングで絶対に話しかける(セールストーク)
→ここは絶対に話しかけるべきタイミングです。それだけ足を留めてくれているということは確実に気になっている証拠です。
→鑑賞していた作品についての解説をします。できれば描いた題材への思い入れや熱意をアピールできるといいですね。
※→会場に”仕掛け”をしている場合はそれらについても交えながら解説できると◎です。接客+作品解説が会場で起こっているパフォーマンスとして価値を提供できます。
⑦作品購入をおすすめするクロージング(締めくくり)をかける
→ここでグッと商売っ気が出てきますが、慈善事業でない限りちゃんと入れるべき要素です。
→画家は内気で心優しい方が多いのでこれが苦手な方は多いですし、これが嫌だから接客できないっていうところがあるとは思うのですが・・・程度にもよりますがこちらの意思はハッキリさせておくべきです。
※→クロージングをかけることで、無駄話をしたいだけの作品購入の意思が無い方を撒くこともできます。⑤で話がただ長いだけの方を撒くためにも使えます。
⑧作品購入が決まったら手続きとお支払い→お見送りで終了
→お支払いや作品の引き渡しの手続き等を会場のルールに従って行います。
→お客様に、後日お礼状を送っていいかを確認してこのタイミングでご住所をいただきましょう。
→お礼とお見送り(会場によってお客様が見えなくなるまで礼)
⑨作品購入が決まらなければお礼を述べて終了
→「ご来場ありがとうございました」とお声掛けして終了です。
→お客様が購入を迷っている状態なら、「〇日までやっています」とか「〇日まで在廊してます」と伝えておくといいですね。※DMを必ず渡しておく!
講義-第36回-画家が自ら行う接客の流れ画家本人が接客できるとマージンとお客様と仕事相手に恵まれる
「そもそも、画家が接客なんて・・・。」と思った方は多いかもしれませんね。
私が初めて売り場に立った時、「自分の作品を他人にがっつり見られているだけでも緊張やら恥ずかしいやらなのに、ましてや話しかけるなんてできるんだろうか・・・」という心境でした。
この心境については家に篭って絵を描くのが好きな人ほど同意してもらえるんじゃないかと思います(^^;)
そう、そうなんです。基本的に画家や作家と呼ばれるものづくりをしている人たちって、基本的には人付き合いや人とのコミュニケーションがあまり得意ではない内気で心優しい方が多めです。(もちろん個人差はありますが)
そのため、”作品は作るけれど、言葉で上手く説明したり自分の作品を売り込んだりは上手くできる自信がないからできればやりたくない・・・”という方が本当に多いのです。いや、本当にこれはもったいない・・・・。
そうするとどうなるかというと・・・・接客や売り込みは画商さんのお仕事ということになるわけです。
それが全てダメというわけではないですし、”餅は餅屋”という言葉どおり、接客も得意な人がやればいいというのも一理あります。
接客をしない分、制作に集中できるというメリットはありますからね。ただ、その場合もちろん画家本人のマージン(取り分)のパーセンテージは低くなります。
そして接客を画商さんに頼るということは、画商さんにお客様が付くことになるので、厳密には作家本人の本当のファンになってくれているかどうかは怪しいことが多いです。(画商さんとの付き合いで買ったなど)
自分自身のファンをゲットしたいなら、やはり自分自身が現場に立つのが手っ取り早いですし、画商さんには接客をする分のマージンの交渉もできます。
売上と今後のお客様とのお付き合いを考えた時に、自身で繋がりを作っておくに越したことはないです。
特に多くの会場や作家を抱えている画廊では、画商さん側も作家本人に接客を任せることができれば実働業務が減るので一緒に仕事がしやすい作家として重宝されます。ちなみにこれは老舗の画廊ほど歓迎される傾向があるようです。
ぜひ接客の流れをインプットして会場のお客様へは作品販売、画廊へは接客が出来る画家として営業をかけて、いろんなお客様とのご縁や会場とお仕事相手を見つけてもらえたらと思います。
講義-第36回-画家が自ら行う接客の流れまとめ
お疲れさまでした。
いかがでしたか?
今回は
画家が自ら行う接客の流れ
をお送りしていきました。
接客は、無名の画家が自身の作品を販売していくにあたって準備と同じかそれ以上に大切な要素で、特に展覧会のリアルな現場で非常に有効な手段です。
プロとして責任を持って自身の作品を届けるためにも必要不可欠ですね(^^)
そして、接客をしている時間は直にお客様の反応を感じられる機会になるので、絵を描いていてよかったなぁと”画家としての喜び”を強く実感できる瞬間を味わえるひとときにできるはずです。
また次の講義でお会いしましょう!
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(※講義内容の参考にさせていただきます。)