【展覧会で受注オーダーをゲットする➀】講義-第44回- 受注オーダーゲットのための準備と決めておきたい項目
講義第44回の今回は受注オーダーゲットのための準備と決めておきたい項目です。
展覧会でその場に展示してある作品もいいけれど、「せっかくなら自分のために1枚描いてほしい」こんなお客様も中にはいます。
こんなふうに言ってもらえたら嬉しいですし、その期待に応えることで相手に喜んでもらえたら最高ですよね。
そんな画家冥利に尽きる出来事、これが作品の受注制作(オーダー)です。
誰かを自分の作品で喜ばせながら、自らも画家としての充実感を得て相応の報酬を受け取れる・・・今回はこの好循環を生み出すための下準備です。
ではでは、早速いきましょう。
講義-第44回-受注オーダーゲットのための準備と決めておきたい項目受注オーダーのために準備してあるといいもの一覧
- ➀価格表(号単価あたり等)
- ➁受注書(発注書)
- ➂受注にあたっての規約書(または契約書)
- ④同意書
- ⑤過去のオーダー作品の一例
最低でも➀と②は準備しておきましょう。
➁については今回の付録添付でエクセル(Excel)で金額や諸々を入力して使用できるものと、すべて空欄のもの(手書き用)と2種用意したのでプリントアウトすればスグに使えると思います。
(実際に使用する際はご自身の名前と住所記入の上、右端にはんこ押して使ってくださいね)
➀価格表(号単価あたり等)
→これはポートフォリオや画家の自己紹介のために作成した資料にも載せましょう!作りましょう!と言ってきたものなので、それがあるならば新たに用意はしなくてもOKです。
→とにかくお客様に「これくらいのサイズならこの価格です」とスグに答えられる、分かってもらえるようにしておくのが大切なので、余裕があれば手渡しできる(あげてもいい)状態のものがあると素晴らしいです。
➁受注書(発注書)
→注文書です。オーダーされた作品のスペックと値段、作品のお届け先(お客様情報)を書きます。お客様に直接記入してもらってもいいと思います。
→作家の住所情報が困る場合には最低限メールアドレス等の連絡先は記載しましょう。(会場側と掛け合って会場の住所を記載させてもらうという手も)
→ここで作品の納期も必ず記載しましょう。できればサンプルのように(〇月頃予定)と書いておくといいでしょう。
→その場にコピー機などが無い場合がほとんどだと思うので、後日コピーしたものを郵送するか、写真を撮ってメールで画像データを送るかしましょう。(先に口頭で伝える、もしくはメールに一言添える)
→備考欄はサンプルの内容を参考にしつつ、受注に関して決めた項目の大切だと思う補足事項を記載するといいです。
➂受注にあたっての規約書(または契約書)
→作品をオーダーしてもらうにあたっての決めごとです。
→受注で作家とお客様が揉めないようにするための作家側からできる自衛手段になります。
→契約書にする場合は、項目に必ず漏れが無いように全てを記載しましょう。
→ある程度信頼関係がある間柄(内輪とか)であればそれほど心配はないと思いますが、そうでない場合には口約束だけで金銭が発生する事柄を扱うのは危険ですからね。。
→「決めておきたい項目一覧」を一つずつ決めていって書面にまとめれば出来上がるものなので、できれば作っておきたいです。
→もしこれが無くても最低限口頭での説明と、受注書の備考欄でカバーできるということであればそれでもOKです。
④同意書
→規約書・契約書に対してのOKをもらうための書面です。なので、➂を作成したら必ず作りたいです。
→➂と別々にせず、一緒にしてA4用紙1枚でコンパクトにまとめてしまいたい場合は同意する旨の文言と、署名欄を添えてしまってもいいと思います。
→これを作成、使用する場合には、自分用とお客様用の2枚を用意して両方に署名してもらいましょう。(郵送のコストと手間が省けます。)
→同意書の文言と署名欄のある書面は「同意書 テンプレート」で検索すると無料でダウンロードできるものがあるので、それで十分です。。
⑤過去のオーダー作品の一例
→これもあればでOKです。
→過去に受けたオーダーでの完成作品などもポートフォリオに入れておけると、一例としてお客様に紹介できます。
→できれば作品のみ+額装含め全体や実際に飾っている様子の写真などをまとめた1枚でポートフォリオに入っていると最高です。
講義-第44回-受注オーダーゲットのための準備と決めておきたい項目受注オーダーのために決めておきたい項目一覧
この項目を上から決めて一文ずつ書き出していけば「受注オーダーについての規約書(または契約書)」はだいたい完成できると思います。
あらかじめこちらから提示しておけば後から認識のズレ等での揉め事やキャンセルに繋がるトラブルを避けられることは多いです。
書面に起こさなかったとしてもご自身の基準として明確にしておいたほうがいい項目です。
特に、お金とキャンセル云々については明確にしておくべきです!
- ➀画料と別にオーダー料金を追加するかどうか
- ➁受注オーダーが成約の時点で前金(手付金)を支払ってもらうかどうか
- ➂前金は画料の何%支払ってもらうか
- ④額装込みの画料かどうか
- ⑤前金の支払い後キャンセルになったタイミングとその措置について
- ➅キャンセルと返金等の対応
- ➆納期についての期間指定
- ➇ラフ(下描き)修正や要望のやり取り回数などの規定
- ➈作品の引き渡しについて(会場からか作家から直接か)
➀画料と別にオーダー料金を追加するかどうか
→取る方、取らない方両方いるので、これは正直作家によります。
→注文者(お客様)も受注者(作家)も責任感というか緊張感は生まれるので、そういう意味でも多少は取ったほうがいかなと思います。
→もしキャンセルになってしまった場合でも作家側の損失を和らげてくれるものになります。
→本画の価格帯によってオーダー料の設定も作家によってまちまちなので絶対の正解はないですが、少なくとも5000~10000円は取りたいですね。
➁受注オーダーが成約の時点で前金(手付金)を支払ってもらうかどうか
→これは支払ってもらうことを強くオススメします。
→ほぼオーダー料を取ったほうがいい理由と同様のことが言えます。
→せっかく制作したのにキャンセルになった‥‥なんてなったときに何も残らず損を被るのは一方的に作家側のみ・・・という事態を避けるためにもこれは鉄則です。
→内輪での関係性であってもなるべくもらうように徹底するべきですね。
➂前金(手付金)は画料の何%支払ってもらうか
→これも作家によってまちまちです。会場との条件等に左右されることもあります。
→相場としては画料の30~50%の金額です。作品サイズや金額によって微調整していいと思います。
④額装込みの画料かどうか
→会場で展示をしている状態を見て、その場でオーダーをしてもらえた場合には想像がつきやすいのでそこまで説明しなくてもいい項目ではあります。
でもまぁ一文でも入れておいたほうが判ってもらいやすいです。(後で時間が経ったときなどの確認とか)
→作家さんによっては額付きと額無しで販売する方もいるので(特に版画作家)、その場合は価格表も2パターンあると良心的ですね。
→井上の場合はもちろん額付きです。
⑤前金の支払い後キャンセルになったタイミングとその措置について
➅キャンセルと返金等の対応
→キャンセル関連がトラブルのうちの半分くらいですね。
→お客様都合のキャンセルで完成した本画の購入をキャンセルされた場合は前金(手付金)をキャンセル料として頂くことを明記するのをオススメします。
→「仕上がりが気に入らなかった」等でキャンセルになってしまった場合の「材料も時間をかけて制作したのに全て無、何ならマイナスで終わる」という最悪の事態を避けるための保険です。
→お客様都合のキャンセルであっても、そのキャンセルが入ったタイミングで前金(手付金)を返金するかどうかを細かく決めておいたほうが悲しい事態を避けられます。以下は返金対応の一例ですが…。
・受注オーダーからラフ制作期間(決定前)でのキャンセル
→オーダー料のみキャンセル料としていただきます。画料の前金(手付金)を返金致します。
・ラフ背作完成から本画背作期間でのキャンセル
→オーダー料と画料の前金(手付金)をキャンセル料としていただきます。
→キャンセルの場合について明記しておいたほうが、安易な感覚でオーダーする方をある程度ふるいにかけることもできるでしょう。
➆納期についての期間指定
→どれくらいの期間を経て作品が完成してお届けできるかの提示です。
→おすすめは、「ラフ(下描き)完成後から〇週間~〇ヵ月後」です。
→作家側で制作にかけたいと考えている期間と、お客様の都合が合わない場合(記念日などに間に合わせたいなど)もあるので要望を聞いて相談の上で決めたほうがいい場合もあるので必ず確認を取ったほうがいいです。
→自身が展示や他のオーダー制作で忙しい場合などはそれもお客様に伝えた上で計算して決めましょう。
→当たり前ですが、決めた納期を守れないとトラブルの原因になるので慎重に余裕の持てる期間を頂きましょう。
➇ラフ(下描き)案の個数や修正や要望のやり取り回数などの規定
→これはデザイナーさんなどのほうがよくある概念かもしれません。
→下描きの構想段階で二転三転して無限に無茶な修正を言いつけられるような状況を避けるための項目です。
→私井上は画家は2~3案を用意して修正は2回くらいでメールで画像を送ってやり取りをした後、本画制作に入るという感じで提示しています。
→「全て画家さんにお任せで!」と最初から快くおっしゃってくれる場合のお客様ならあんまり関係ない項目ですね。
➈作品の引き渡しについて(会場からか作家から直接か)
→受注を契約した会場から作品を送ってもらうようにするか、作家から直接作品を送るかです。
→自身の住所をお客様に知られたくない作家さんの場合には会場から送ってもらうようにするのがいいでしょう。その場合は発注書の住所も会場の方と掛け合って会場の住所を借りるのも1つです。
→会場のから作品を送ってもらったり、住所を借りたり、その会場で展示をしていてオーダーに繋がって成約に至った場合には会場とマージンを分け合うようにしておくのが無難です。(会場とのマージンについてはお客様に見せる規約書・契約書には記載しなくてOKです)
講義-第44回-受注オーダーゲットのための準備と決めておきたい項目まとめ
お疲れさまでした。
いかがでしたか?
今回は
受注オーダーゲットのための準備と決めておきたい項目
をお送りしていきました。
今回の内容を一通り決めて書面へまとめておけば、大抵の受注オーダーで戸惑うことはないでしょう。
お話を持ち掛けられた時に、こちら側が準備万端でサッと内訳を明確に提示できる状態にしておくことが重要です。これがお客様との間で揉めたりしないようにするためにまず打てる手ですね。
受注オーダーは展覧会で展示している作品に+αで売上を伸ばせる方法なので、展覧会開催に慣れてきたら狙いたい次のステップですよ~~!
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(※講義内容の参考にさせていただきます。)