【展覧会の準備方法を知る➂】講義-第32回- 絵が売れる展覧会のDMレシピ
講義第32回の今回は絵が売れる展覧会のDMレシピです。
今回は展覧会を告知するための紙媒体(チラシ)であるDM(ダイレクトメール)についての講義内容です。
以前の講義 講義-第20回-手堅く売れる画家の準備事務タスク一覧の④にあたる内容です。
ギャラリーや会場の企画に大人数グループで参加する場合には制作することはあまりないかもしれません。
しかし、個展や少数グループでの展覧会開催においてはご自身で制作する必要が出てきます。
私が過去に参加・開催したDMも掲載しつつ、DMにどんな情報や要素を入れて宣伝・アピールするべきなのかを解説していきます。
ではでは、早速いきましょう。
講義-第32回-絵が売れる展覧会のDMレシピそもそもDM(ダイレクトメール)とは?
DM(ダイレクトメール)とは、展覧会のご案内で、主に紙を媒体としたチラシのことです。
昨今ではWEB上やSNSでの告知も多いですが、どんな会場であってもDMを作成するというのはいまだに根強い文化です。
美術館や博物館、アートホールなども行けばずらっとたくさんのご案内が置いてありますよね。
ずばり私達が準備して開催する展覧会も、そういった場所で行われている催しと同じように”宣伝”するために作るものです。
講義-第32回-絵が売れる展覧会のDMレシピDMを制作する一番の理由は”宣伝”のため
改めて言われなくても「そりゃそうでしょ~!」と言われてしまいそうですが(^^:)
知り合いや顧客に配るだけでなく、不特定多数の人間が集まる場所に置かせてもらったり、一番重要なのがメディアに対して展覧会をPRするためです。
なので、DM1枚を見ただけで展覧会の概要が分かるよう、アピールできるものにしておくのがキモと言えます。
講義-第32回-品絵が売れる展覧会のDMレシピDMの具体例
A4三つ折りサイズ
はがきサイズ二つ折り
A3DM折り(二つ折り+巻三つ折り)
A4三つ折りサイズ
A4三つ折りサイズ
はがきサイズ
これまでに井上が実際に参加・開催した展覧会DMの一例です。
会場や展示形態によって用紙サイズもまちまちですが、それぞれ参考になる点はあると思います。
具体的にどんな情報を入れたらいいのかは以下の項目でまとめたのでチェックしてくださいね。
基本的に、用紙サイズが小さい・展覧会の参加人数が多ければ多いほど展覧会について掘り下げた情報を入れるのは難しくなります。
正直、以下の項目全てを満たすものを作成するならサイズが大きめの用紙で作成しないと載せられない量の項目数です。
そして、サイズを大きく作成するということは、それだけ費用も掛かります。なので、いきなりはハードルが高いかもしれません。
なので、最初からA4サイズで作る勇気が出ない場合は、はがきサイズ~はがき二つ折りから慣れていくといいでしょう。
講義-第32回-品絵が売れる展覧会のDMレシピDMに入れるべき情報項目(材料)13点
DMの1枚におさめておくべき情報の項目をリストアップしました。
上から順番に大事な項目として挙げています。
➀表紙となる場所に展覧会タイトル(必要ならフリガナ入れる)
→まず初めに見てわかるようにしておくべきものですね。
②会期と場所
→展覧会の会期と会場を明記しましょう。
→会場の営業時間も必ず入れましょう。
→ギャラリーなどはよくマップを入れるのがあるあるですね。
→作家が在廊する会期が決まっていれば、明記しておいたほうが◎
➂作品画像
→展覧会を代表する一押しの作品や、新作を掲載したいところです。
→その展覧会で必ず出品する作品の画像にしましょう。
→出品できない作品を掲載してしまうと業界では”事故”と言って、詐欺にあたる行為になってしまいます。近々で展覧会がバッティングしてしまいそうなときには在庫の管理と共に気を付けてください。
→できれば、印刷できれいに出やすい、コントラストが強い作品をチョイスできるとかなり上級者です。
④作品スペック
→・作品タイトル
・技法
・サイズ
・税込価格(会場と要相談)
→価格は会場の方針もあるので要相談ですが、タイトル・技法・サイズは必須項目です。
⑤作家略歴
→➅の作家顔写真と入れたいです。
→ポートフォリオと同様に、出身地は絶対に入れましょう。できれば市区町村まで。先方やお客様と地元が同じ・同郷なのが分かると、そこからお仕事や応援・ご縁が生まれるきっかけに繋がる可能性がかなりUPするので不都合がなければ入れておくほうがベターです。
→生まれ年は自由ですが、これもわかると先方やお客様が親近感を持ってくれる要素になります。
→基本的にはポートフォリオを作成した際の略歴の流用でOKですが、用紙サイズが小さいと十分なスペースは確保できないと思うので、
・生まれ年(出身地も)
・大学が美大とか美術系なら最終学歴
・直近3年くらいの展覧会歴
これくらいをコンパクトに入れられれば十分です。
➅作家顔写真
→できれば⑤の略歴と一緒に入れたい項目です。
→どんな人が開催する展覧会なのか、作家の顔が分かるほうが親近感や興味を持ってくれることが多いです。
→ボケている、後姿や横顔すぎてあまり顔がわからない写真は避けましょう。
⑦SNS各種のQRコード
→Facebook/Instagram/X(旧Twitter)/HPブログなど、媒体で活動の発信や作品を載せているなら是非入れたいです。
→アクセスしてもらえれば、そこから活動やDMに掲載していない作品も見てもらえてチャンスが広がるので、略歴が入るスペースがない場合にはこちらを優先してもいいかもしれません。
⑧展覧会開催にあたってのごあいさつ文
→展覧会を開催するにあたっての軽いあいさつ文です。
→用紙のスペースが無い場合、以下に出てくる文章の項目(⑨・⑩)と一緒にまとめてしまうのがすっきりします。
→作品点数についての文言はできれば必ず入れたいです。(どれくらいの作品数が並ぶかで、規模感もなんとなく想像できるから)
→例:新作含めおよそ20点の作品を展示いたします。
⑨展覧会コンセプト
→今回の展覧会のコンセプトです。作品のコンセプトや展覧会タイトル・展覧会の開催地にちなんでコンセプトを考えることが一般的には多いです。
→あいさつ文でさっぱりとまとまる場合にはそれで充分ですが、コンセプトを掘り下げて書き連ねておくと、その内容に反応してくれた濃い目のファン層をゲットできるチャンスにつながるので、はがき二つ折り~A4サイズ以上で作成する場合には入れたいですね。
⑩制作・作品コンセプト
→簡単な制作や作品のコンセプトについての文章です。どんなものを、何で描いているのかが最低限伝わればOKです。
⑪ワークショップやイベント概要
→先方に一目でわかってもらえるよう先にこちらから提示しておいたほうが圧倒的にトラブルの発生をげます。
→当日会場でスムーズに事が運ぶかどうかが変わってくるので開催の予定があるならできれば絶対に入れたい内容です。
→DMに載せておくと、イベント目当てで来場される方を狙えるので明記するのは大事ですね。
⑫扱う技法について
→これはA4サイズ以上で作る場合でないとなかなかスペースが取れないと思います。
→技法が珍しい場合や、こだわりをアピールすることで作品の価値を伝えたいと考える作家は入れたほうがコアなファンをゲットしやすくなるでしょう。
→必要であれば写真画像や、図解を入れると見栄えがしてなお良しです。
⑬画商や業界著名人の推薦文
→こちらもあればでOKですが、よく書籍の帯にその本をオススメする著名人のコメント文が載っていたりするのと同じようなものです。
→会場の画商さんや展示の企画者が作家を熱心に売り込んでくれる場合にはこうしたものを一筆寄せてくれることがあるので、もし可能ならあると作家としての箔が付くのでおすすめです。
講義-第32回-絵が売れる展覧会のDMレシピただのチラシではなく、”読み物”としての作りを持たせる
上で紹介した項目の⑧・⑨・⑩・⑫に関してがDMを”読み物”にするための内容です。
特に、コンセプトや制作のこだわり・技法についてなどのあたりは、作家自身の考え方やスタンス、文化や技術を発信するという部分も含まれてくるので、あなたという作家に共感したり、興味を持ってくれる人を引き寄せるための仕掛けになるわけです。
このあたりも踏まえてDMを制作する感覚を持てると、一味も二味もグレードが高い雰囲気の展覧会を開催できるようになると思います。
作品画像と会期と場所しか載っていないDMは、よっぽど作品画像が見た人の感覚に刺さらないと興味を引けません。
それだけで勝負するというのも、もちろんいいとは思いますが興味をそそるように様々な要素をトッピングしてあげるとそれだけ宣伝の効果が上がるってもんですよ。(^^)
講義-第32回-絵が売れる展覧会のDMレシピまとめ
お疲れさまでした。
いかがでしたか?
今回は
絵が売れる展覧会のDMレシピ
をお送りしていきました。
ココで挙げた項目と解説の内容を元にして作成すれば、ばっちりキマったDMが完成するはずです。
でもって、もちろん私の過去のDMをマネて作成してもらってもいいです。
何度か作ってみればある程度これも”型”ができてくるので、そんなに難しいものではないですよ~(^^)
また次の講義でお会いしましょう!
講義-第32回-ワーク
今回のワークは、『今やっている展覧会のDMを収集してみよう(3種類ほど)』です。
さて、今回のDM作成についての内容を汲んだワークです。
私の具体例はあくまでも1つの例であって、作家の人数分だけDMの種類も存在するわけです。
どんなDMを作ったらいいのかわからない人ほど、作家たちがどんなDMを作成しているのかを参考にすべきです。
というわけで、今回のワークというわけなんですね(^^)
わからないときは、シンプルにまねぶ=学ぶが大事ですよ~!
●ワークのねらい●
・実際に展覧会を開催したいと思っている会場のDMなら、どんな作家がどんなDMを制作しているのかのリサーチになる。
・自分の制作ジャンルに近い作家や、展覧会の開催形態(個展・グループ展)のものであればより具体的な参考資料をゲットできる。
・いろいろなデザインやDMの用紙サイズのレイアウトに対してアンテナを張ることで、自分の作品を活かすためのDMを制作する”目”を鍛える。
■ワーク実習の手順■
➀出題内容を把握。
②実際に会場等へ足を運んで参考になりそうなDMを収集。
➂出題内容に回答する(回答フォームに入力)。
➃回答フォームからの送信と、収集したDM画像をメール添付にて送信
※注意事項※
・できれば実際に展覧会や会場へ足を運んでリサーチしましょう。
・できればご自身が扱うのと似たような技法で作品を制作・販売を目的としている展覧会のDMをリサーチしましょう。
・ご自身で展覧会を開きたいと思っている会場のDMも参考になるでしょう。
・実際に足を運べない場合には、SNSで上がっている展覧会DMの画像もOKです。
※画像はメール添付で提出してください。
必ず氏名を忘れずに記入すること。(どなたの画像かわからなくなってしまいます(涙))
メール件名:【お名前〇〇〇〇 講義第32回ワーク回答】
画像提出はこちらメールアドレスへ↓↓↓
amikainoueart@gmail.com
最後はアンケートのお願いです。(あれば)
今回の講義内容での質問や感想などがあればこちらにお願いします。
あなたやこの講座で学ぶ仲間にとって、充実した講座を作っていくためにあなたの抱えている悩みやギモンをぶつけてもらえると嬉しいです。
(※講義内容の参考にさせていただきます。)
※ワークへのコメント・添削返信は回答と画像の提出が全て揃った方から随時行います。
(返信目安は1週間前後)※
※セルフスタディコース【SSC】の方はワーク提出不要です※