【展覧会・市場・画家の知識を頭に入れる➅】講義-第13回-画家と税金②
講義第13回の今回は画家と税金②です。
前回の第12回の続きの内容となるのでそちらもチェックしておいてくださいね。
今回は前回の補足的なことと、必要経費の内訳の分類についてまとめていきます。
ではでは、早速やっていきましょう。
講義-第13回-画家と税金②画家業を副業的にスタートしたいなら
今は本業があって、副業的にスタートしたいという場合もあると思います。
そうすると、本業の収入+画業の収入で確定申告をする必要があります。
基本的には画家業(副業)で収入があった場合には申告すべきなんですが、それが年間20万円以下の収入(利益)であれば所得税の申告は不要です。(ちなみに専業で画家(個人事業主)は38万円以下なら申告は不要)
ただし、住民税(市・区・町・県・都・府 民税)の申告は必要なので、そのあたりがややこしかったりします。
申告漏れで脱税になってしまう恐れがあるので気を付けたいポイントですね。
前回の講義にも載せましたが、この動画でもしっかり取り上げてくれています。↓
講義-第13回-画家と税金②個人事業主とは…
前回の講義を含め、画家は個人事業主(フリーランス)だと散々言ってきましたが、個人事業主になるということはどこかで雇われる身とは違ってすべての手続きを自身で行わなければいけません。
個人事業主として得る自由さと引き換えに受け入れなければいけない事(自分で理解しておく、やること)はけっこうあります。(ここまでの流れですでにお分かりだと思いますが(^^;))
所得税・住民税・国民保険料・国民年金保険料・個人事業税(画家は非課税)・消費税(インボイス制度で揺れてる)
これらの税の処理は企業や団体ならすべて給与から天引き&年末調整でポンと出てきていたものを全て自分で管理しないといけないので、やってもらっていたことに有難みを覚える方もいるでしょうね。。
素敵にまとめてくださっている動画があったので、こちらもぜひ↓
講義-第13回-画家と税金②経費(必要経費)とは
そもそも、経費ってなに?って話ですが…
経費とは、事業を運営するうえで発生した費用のことです。
なんでもかんでも経費になるわけではないので、じゃあ具体的に何が経費になるの??ってなりますよね。
というわけで、これはあくまでも私の例になりますが、画家の必要経費の振り分け内容を解説していきます。
➀画材費
②交通費
➂研究費
➃交際接待費
⑤書籍代
➅場所代
⑦光熱費
⑧通信費
⑨旅費(移動費)
⑩モチーフ代
⑪雑費(人件費含む)
※画業でも使うし、私的にも使うものは基本的に使用頻度のパーセンテージで計算します。
私的にも使うものを100%経費に計上するのは、もし税務調査が入った場合却下になってしまう可能性が高いのでこのあたりが上手くやり繰りするキモだと思います。
そして、税務署も担当者によって解釈が微妙に違っ足りする場合があります。・・・なので最終的には自分に都合よく解釈しちゃっても良いです。
まぁそのかわり、訊かれたらちゃんと答えられる理由は用意しておくと安心ですね(^^)
パーセンテージのことを含めこちらの動画2本がかなり参考になるのでぜひ。1本は50分もあるので大変ですが(^^;)
講義-第13回-画家と税金②個人事業主の必要経費(経費)はタダではない
よく、「経費で落ちるからオッケー!」みたいなフレーズがありますが、それは会社員などのどこかに雇われている方にしか通用しない感覚です。
会社員の場合は事業に関係する事柄の費用を私費で賄ったとき、手続きを踏むと会社が清算してくれるわけです。
しかし、私達画家のような個人事業主にとって財源は自分の収入であり”懐”です。
出費の使い道が画業のためになるのもの(必要なもの)であれば経費として計上して節税にあてられるだけで、出費は経費には出来たとしても出費であることには変わりないと思っておきましょう。
(…これは私自身への戒め的な記載です(^^;))
講義-第13回-画家と税金②➀画材費
これはまず言わずもがなですよね。作品を完成させるために使った材料や道具などは全てここに入ります。
あと、額縁もここにがっつり入りますね。この項目に関してはわりと誰でも迷いなく振り分けが出来ると思います。
ちなみに、作品を制作している時じゃなくても使っている道具は使用頻度のパーセンテージで計算するのがいいでしょう。
講義-第13回-画家と税金②②交通費
これはあくまで画業に関することでかかった交通費になります。
例えば、展覧会会場へ打ち合わせに行ったとか、画家仲間と会う(打ち合わせ)、作品制作のネタ探し(取材)や研究のために展覧会や美術館へ行った際にかかった交通費も入れてOKです。
私は画材を買いに行った際の電車賃とかも入れていますね。
講義-第13回-画家と税金②③研究費
ここも結構大切です。美術館や博物館・動物園・映画・テーマパークなども入ります。ただし、テーマパークなどのエンタメは一見プライベートな娯楽に見えやすいので何を取材しに行ったとか、何を学びに行ったのかを記録しておくと◎です。
あとはネットフリックスのようなアイデアや発想を豊かにするようなエンタメ・映画が見られるものも入ると思います。ただしこれも私的にも利用はすると思うので、全額で計上しないで半額ぐらいにするのが無難です。
画家やデザイナーなどものづくりで柔軟な発想や感性が必要とされる業種はこのあたりが一般的な業種よりも認められる範囲が広いです。
それゆえに訊かれた際には正々堂々と答えられるように理由を用意しておくことと、比較的許される範囲が広いからといって全部が全部~とならないようにしたいところです。
講義-第13回-画家と税金②④交際接待費
個人事業主の節税対策で一番汎用性が高いのはこの項目です。
法人の場合には年間に限度額がありますが、個人事業主にははありません。なのでここがチリツモで効きます。
画家仲間と打ち合わせや、制作の事などを雑談しながら食事をしたらここに入ります。そして、究極を言えば、、、誰か(他人)と食事をすればここに入ります(笑)
なので、私は画家仲間と一緒に食事へ行くとレシート/領収書の奪い合いになります(笑)
ただし、家族との食事は含めないでおくのが吉です。←税務署はココを見ているようです
その他だとお客様やお仕事相手との会食、菓子折りなどもここに入ります。
講義-第13回-画家と税金②⑤書籍代
こちらは研究費同様にといったところですかね。技法書や画集はもちろん、自身の制作に必要な資料となるものはここに入るとみなしてOKだと思います。
思考して制作のヒントとかアイデアのために~って感じでかなり幅広くいけます。
個人的に、海外の画集は高かったりするのでここが有難いことは多々ありますね。
講義-第13回-画家と税金②➅場所代
これは展覧会の会場、貸画廊などを借りたときの料金や、アトリエ(制作したりする仕事場)が賃貸のときなどがここに入ります。
で、画家に限らず個人事業主で多いのは賃貸で住居兼仕事場(アトリエ)の場合です。その場合は賃貸料を全額経費に計上するのはアウトなので、仕事(私達なら絵を描く場所など)で使っている作業場の面積をおおよそのパーセンテージで出して賃貸料に掛け合わせて算出します。
一番きっちりできるのは、自身が住んでいる物件の間取りをwebなどで確認して算出する方法ですね。
講義-第13回-画家と税金②⑦光熱費
こちらも場所代と同じく住居が仕事場の場合、全額を経費にするのはアウトなので、全体の半分くらいで計上するのが私達の周りでは多いですね。
講義-第13回-画家と税金②⑧通信費
仕事上の連絡を取ったり、仕事のために必要なデータを作ったり、資料を集めたりなどなど、こちらも経費に計上する理由は十分にあるのでがっつりいけます。
ただ、ここも私的な使用頻度との兼ね合いで計算するのが適当なので、100%はナシです。特に人と用もなく頻繁に連絡を取ったりしないかなぁという人は90%くらい計上してもいけると思います。
…私は大体50~75%くらいで上げてましたが、もうちょっと乗せてもいいような気がしてきました(笑)
講義-第13回-画家と税金②⑨旅費(移動費)
作品のための取材旅行がここに入ります。で、またこれもプライベートかと突っ込まれた時の対策のためにメモ書きでもいいので何を取材しに行ったのかなど記録があるといいですね。
一番わかりやすいのはその取材をもとにした作品があったり、その作品が売れたという証拠です。
私の場合には主に地方での展覧会の場合にかかる現地滞在費です。なのでほとんどが宿代や新幹線・飛行機・夜行バスとかですね。
自家用車を搬入や搬出したりで使う場合にはガソリン代もかかるので、これも私的利用と事業利用のパーセンテージで算出します。
…このパーセンテージの計算が面倒だったりするんですが、これをやる意味が青色申告にはあるので(65万円の控除は大きい!!)どの項目においても頑張りたいですね・・・!
講義-第13回-画家と税金②⑩モチーフ代(モデル代)
これもけっこうあると思います。何をモチーフにしているかにもよりますが、特に静物画で花や果物を実際にセットして描く方なんかはそこそこかさみますからね。(ダメになる前に美味しく頂けばなんかお得感ありますし)
あとは、モデル代も人件費と言うよりはこっちですね。できれば実務で雇った人の分とは分けておいた方が分かりやすいと思います。
…美大の受験予備校なんかは学費の半分くらいこれだった気がしますね‥‥。
講義-第13回-画家と税金②⑪雑費(人件費含む)
正直ここは、”画業に関係してることは確かなんだけどどこに分類したらいいかわかんない!”ってものを計上します。
あとは分類するほど額が上がらないものですね。
私の場合だと、展覧会で着る洋服の衣装代や展覧会直前の月に行く美容院代です。
あとは、搬入や搬出を手伝ってもらったなど誰か人を雇った場合にも私はここに入れています。(これも大した額がないので雑費にまとめていますが、それなりに上がる方は別で分けたほうがいいです。)
講義-第13回-画家と税金②まとめ
お疲れさまでした。
いかがでしたか?
今回は
画家と税金②
をお送りしていきました。
➀と②、合わせて解説していきましたが、You Tube動画の引用をしつつ、これはあくまで1画家の本当に最低限の知識です。
お住いの市区町村によっても厳密な部分はルールが違うので、国税庁や地域の税務署等が開催している無料相談の窓口や、税理士が主催している無料相談会や窓口を利用するのが安心だと思います。
「もー、いろいろ言われたところでわかんないし心配!パニック!」とにかく1から質問してサポートしてほしい場合にはご自身の納税地を管轄する税務署に駆け込むのが一番手っ取り早いです!
正直言って私は「あゝ、なんてめんどくさいのか・・・」といつも思ってしまいます。(笑)
1から10まで全部自分でやらなきゃいけないので、しんどくなったりもします(^^;)
とはいえ、裏を返せば他の人や環境に左右されないで自分さえちゃんとすれば全て自分だけで完結できるわけです。
この一連の作業のめんどくささを乗り越えて、自分の尻拭いができて初めて手に入る…やはり自由ってこういうものなのかなぁって思ったりするわけです。。
画家=個人事業主=経営者ですからね。
今回のセクション【展覧会・市場・画家の知識を頭に入れる】はこれで一旦締めとなります。
次回からは【あなたにとっての売りやすい会場を見つける】このセクションに入っていきますのでお楽しみに(^^)
また次の講義でお会いしましょう!
講義-第13回- ワーク
今回のワークは、『美術館(博物館)へ行こう』です。
制作や諸々があって忙しい!なんて状態でなかなか行けていない方、いると思います!(かくいう私もその一人)
今回のワーク課題として出題することによって、ある意味ちょっぴり強制的に本物を見てインプットする機会を作りたいと思います(^^)
私はプロとして作品を販売するようになってからも、その前も、やはり「本物を実際に見ること」の大切さは様々な角度から重要なことだと考えています。絵なんて特に「百聞は一見に如かず」じゃないですか!
浪人生で描きたいテーマや技術的にも全てを探っていた頃にはしきりに本物を見なさいと言われて見に行ってましたが、見に行くたびに影響されまくっていました(笑)
今回のこの課題では、特に美術館や博物館など大きめでかつ「名画」や「国宝」などの一流を収蔵している施設へ行ってもらいたいと思います。(特に、ちゃんと入場料を払って見るようなところへ行きましょう)
皆さんに出題ばかりしてないで、私もちゃんと本物を見に行ってきます!
●ワークのねらい●
・実際に一流の作品を見て、一流の作品の「完成度」や「説得力」や「作品の見え方の強さ」がどんなところにあるのか(その理由)をぼんやりでもOKなので考えてみる
・具体的に自分の作品制作に落とし込めそうな技術的な事柄を観察する(技法とか絵肌とか見え方)
・一流の作品が展示されている一流の空間に触れる・身を置く
・作品制作に活かせる何かを1つでも持ち帰る
・感じたことを言語化して伝える訓練
■ワーク実習の手順■
➀美術館(博物館)へ行く
②出題内容の回答を考える。
➂出題内容の回答を、回答フォームに記入、送信。
※あれば任意で画像・写真をメール添付で提出。
※注意事項※
・「名画」や「国宝」を収蔵する、ちゃんと入場料を取る美術館や博物館へ行きましょう。
・ギャラリーなどの無料で入場できる現代画家の展覧会は今回はナシにしましょう。
※画像はあればメール添付で提出してください。※今回は任意項目です。
必ず氏名を忘れずに記入すること。(どなたのご提出かわからなくなってしまいます(涙))
メール件名:【お名前〇〇〇〇 講義第13回ワーク回答】
画像提出はこちらメールアドレスへ↓↓↓
amikainoueart@gmail.com
最後はアンケートのお願いです。(あれば)
今回の講義内容での質問などもあればこちらにお願いします。
あなたやこの講座で学ぶ仲間にとって、充実した講座を作っていくためにあなたの抱えている悩みやギモンをぶつけてもらえると嬉しいです。
(※講義内容の参考にさせていただきます。)
※ワークへのコメント・添削返信は回答の提出が全て揃った方から随時行います。
(返信目安は1週間前後)※
※セルフスタディコース【SSC】の方はワーク提出不要です※