【展覧会での接客方法を知る➁】講義-第37回- セールストーク(作品解説)を用意しよう
講義第37回の今回はセールストーク(作品解説)を用意しようです。
前回講義から接客パートに入りましたが、展覧会で在廊するにあたって画家がすべき最大のお仕事はセールストーク(作品解説)です。
今回はセールストーク(作品解説)って、どんなことを言えばいいのかを知って用意して備えましょうという回ですね。
ではでは、早速いきましょう。
講義-第37回-セールストーク(作品解説)を用意しようセールストーク(作品解説)で使える項目 10点
具体的に作品解説で話題にできて、かつ用意しておける項目をピックアップしました。
最初から文章で書き出していけるならもちろんOKですが、それが難しいようならそれぞれの項目に対してまずは単語を出していくのがいいです。
そこから実際の現場でセールストークとして活かす際には、話しやすいように話し言葉に整えて出せるようにしておくといいと思います。
そして、ここで言う作品解説とは作者の主観で作品について語るべきものなので制作に対しての思い入れや経緯などを乗せてOKです。
そのほうが制作にかける熱意も伝わりやすいので、特に作品ごとにエピソードなどあればなお◎です。(当たり前ですが、ウソとかはダメです(笑))
基本的に、作品解説は自身の言葉で、作品の見どころ・魅力を言語化する行為だと思ってください。
➀どんな技法で描かれた作品か?
→「日本画です」とか「油絵で描いています」などメジャーな技法なら一言で伝わりやすいので、それ以上はここでは掘り下げなくていいでしょう。
→ミクストメディアやニッチだったりする技法の場合は、簡単にどういうことをしているのかの説明は用意しておくといいですね。
➁どんなものを主に描いて、どんなテーマ(主題)やコンセプトで制作しているか?
→簡単に一言で言える程度でOKです。どんなものを描いているかは、”ジャンル”でいいと思います。(井上なら動物画など)
➂何故その技法を使用しているのか?その理由
→あくまで、自身の主観からの根拠でOKです。
→絶対なければいけない!というわけではないのですが、理由としてあったほうが感心を相手から引き出しやすく、作品に対しての説得力や作家としての責任感の所在をアピールできます。
④何故そのテーマ(主題)やコンセプトで制作しているのか?その理由
→これは例えば、”〇〇が好きだから”だけだと理由としてはちょっと弱いかなというのが正直なところです。制作の発端が”好き”というのはいいと思いますし、理由としては単純に多いと思います。(井上もあります)ただ、プロとしてはその”好き”を追求すべきで、”好き”がなぜ好きなのか、その理由を掘り下げたいところです。
→掘り下げた先でテーマやコンセプトが見つかる方は多いので、ここは頑張って言語化したい項目です。
⑤作品で描いたもの(具体的なモチーフ)への思い入れ
→ここでは一般的な常識や通説を利用してもいいですし、思いっきり自身の主観を展開して語れるといいですね。
→自分なりのエピソードや視点を語れるとそれが作家性をアピールできるポイントになるでしょう。
➅作品に対して自分が気に入っているポイント
→作品を制作した本人がこれを語ることができなければ、まず自信と責任を持ってお客様へ薦めることはできないので、必ず用意しましょう。(最終的な判断はお客様であってもです)
→あればあるほど熱意は伝えやすいので、作品や自分(作家として)のアピールポイントの持ち球になります。
⑦制作や作品に対してこだわっていること
→「こだわっていること」と一口に言っても、その中でもさらにいくつかのポイントは考えられます。以下は一例として挙げておきます。全てないとダメというわけではないです。
→➅同様にあればあるほど熱意は伝えやすいので、作品や自分(作家として)のアピールポイントの持ち球になります。
→・技法について
→・使っている素材について
→・選ぶモチーフについて
→・モチーフの取材について
→・額装について
→・作品に起こすまでの制作の構想段階について
⑧制作~完成までにどれくらいの期間(時間)をかけたか?
→これを訊いてくるお客様はけっこういたりします。大体どれくらいで描き上げたかを把握しておきましょう。
→これに付け足して手間をかけた際の苦労話も、ほんの少し差し込めるといいです。(あんまり多いとくどいので塩梅は加減しつつ)
⑨いつ完成した作品か?
→展覧会開催までのどれくらいの時期に完成したか、ギリギリまで粘ったか・・・など、鑑賞者は描き手の状況を想像しながら作品を鑑賞できるとよりリアリティを感じてくれるようです。
→制作した本人から聴くからこそ感じられるリアリティのある話題なので、覚えていたら特にクロージング(売り込みの締めくくり)あたりで言いたいですね。
⑩作品を制作していた時の状況や心境
→作品を制作していた時に、どんなことを考えたり思いながら描いていたかなどのエピソードがあれば話せるとすごくいいですね。
→⑨同様に、これも作品を制作した作家本人だからこそ聴ける話だと思うので、どんな素朴なことでもOKなのでここはなんとか絶対に言語化したい項目です。
→大袈裟に言うと、「制作秘話」みたいな感じですね。作品にまつわるエピソードトークです。
講義-第37回-セールストーク(作品解説)を用意しようお客様にとって画家本人からの作品解説はその場で体験できるアトラクションになる
画商さんや売り場のスタッフが接客をすることのほうが現場では多いので、画家自らがお客様へ作品についてを解説して接客することは最近でこそ少しずつ増えてきたようですがまだまだ少ないのが現状です。
画家本人から直接作品の解説が聴けることは、美術館で音声ガイドを聞きながら作品を鑑賞したいという人の会場の楽しみ方と近いものがあると考えてください。
画家本人の作品解説はリアルの会場ででしか体験できない、画家本人だけが創り出せるその展覧会においての付加価値を作れる武器です。
売り場で”もの”を日常的にお客様に売っていることを仕事にしている人(売り子さんやスタッフ)から声をかけられるよりも、やはり作家本人から熱心に解説を聞かされて心を動かされる方が多いように思います。(=それが購買に繋がる)
それが流暢な解説ではなく、たどたどしいものだったとしても作家本人の口から聴けた場合には無下に対応してくる方は少ないというのが現場での肌感覚です。
兎にも角にも自ら作品の解説をして売り込むことで、何か一つでも相手(お客様)にとって”いろいろ聴けて良い経験になった”とか”楽しかった”と、まずはと思ってもらえるように尽くせたら最高ですね。
講義-第37回-セールストーク(作品解説)を用意しようまとめ
お疲れさまでした。
いかがでしたか?
今回は
セールストーク(作品解説)を用意しよう
をお送りしていきました。
まさに画家が行う接客の”キモ”が作品解説です。
最初は他人相手にこんなに話さないといけないなんて、慣れるまで緊張するかもしれませんし、なかなか上手くできない…絵なんだから言葉にするのは難しい…と思ってしまうかもしれません。
とはいえ、ぶっつけ本番は難しいとしても事前に作品について話せる中身を考えてまとめておけばそういった不安はある程度解消できます。
画家自らが行うセールストークとは、大部分が作品解説で自身の作品の魅力を言語化して相手に伝えるための行為です。
今回挙げた作品解説についての項目を各作品ごとで書き出しておくことで十分に用意できると思いますよ。
それに、これはポートフォリオやSNSでの作品を掲載する際や、WEBショップで作品を販売することになれば作品紹介文としても応用できるのでぜひ作品についてを言語化してみてくださいね(^^)
また次の講義でお会いしましょう!
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