【展覧会での接客方法を知る④】講義-第39回- 作品を買いたいと思わせるクロージングとキラーフレーズ
講義第39回の今回は作品を買いたいと思わせるクロージングとキラーフレーズです。
接客の大部分を占めるセールストーク(作品解説)については過去講義(第37回・第38回)で充実させて、作品の魅力を伝えられるようにするとして・・・・そうすると、接客の流れとしてセールストークの先に待っている最後の砦に「クロージング」があります。
今回はそのクロージングについてどうすればいいのか、そしてそこで使える「キラーフレーズ」をまとめています。
接客の流れについては、講義 第36回 画家が自ら行う接客の流れ でおさらいしてくださいね(^^)
ではでは、早速いきましょう。
講義-第39回-作品を買いたいと思わせるクロージングとキラーフレーズそもそも、”クロージング”とは??
まずは、そもそも「クロージング」ってなに??ってところから触れておきますね。
クロージング(Closing)とは、主にビジネス用語として使われていますが直訳すると「終わり」や「締めくくり」を意味する言葉です。
営業活動においては商談を契約に結びつける最終段階のフェーズです。
商談相手やお客様に意思決定を促すための重要な場面といったところですね。
講義-第39回-作品を買いたいと思わせるクロージングとキラーフレーズクロージングの流れ
クロージングは絵を販売する現場においても慈善事業ではない限り、できればなんとかして取り入れるべきアクションです。
講義 第36回 講義 第36回 画家が自ら行う接客の流れ での通り、全体の接客として、まずは作品解説で作品についての魅力を伝えることと、お客様から発せられる会話を大切にした後にクロージングをかけていくことを意識しましょう。
クロージングの中にもさらに段階があるので、その流れは➀~➂の以下のとおりです。
➀テストクロージング(作品への購入意思があるかどうかを探るジャブ)
まずはふんわりと作品への購入意思があるのかどうかを探ります。ひとしきり会話をした後で以下のような質問をかけてみるといいでしょう。
選択肢が絞られすぎずに、ある程度余白は残しつつも購入の意思があるかどうかのジャブを打つ感じです。
→・「ひとしきり見てくださって、いかがでしたか?」
→・「なにか気になる作品はありましたか?」
ここで返ってきたリアクションを見て、興味の度合いを推し量ります。
反応が良ければこのままクロージングへ進みますが、「売り付けられる」という雰囲気を察知した時点で離れる方もいるのでその場合にはリリース(離す)してここで打ち止めにしましょう。
➁クロージング(本番)
ジャブを打ってみて離れなかった、または反応が返ってきて感触が良かった場合、本番のクロージングへと進みます。
お客様との距離感や空気感を読むことは大事ですが、ここでは先ほどよりもはっきりと作品を選んでもらうような形で問いかけましょう。
もちろん、ここにきてサッと引くお客様はいますが、それならそれではっきりできて次のチャンスに備えることができます。見切りを付けて次に行くためにも勇気を持って臨みたいですね。
→・「どの作品が気に入りましたか?」
→・「どれが気になりましたか?」
→・「この作品が気になりますか?」
テストの段階よりも具体的にどの作品かを絞りましょう。作品を絞ったほうが、よりその作品に対しての熱意や作品へのエピソードなどを濃く伝えてアピールしやすくなります。
もし1点だけでなく複数気になっている場合には、それぞれの作品に対してしっかりアピールしましょう。
セールストークで使った内容を繰り返し強調したり、以下で載せた”キラーワード”をここで使えるとグッドです。
➂売買決定
作品の金額や納期、現物をチェックしてもらって手続きを完了させます。
講義-第39回-作品を買いたいと思わせるクロージングとキラーフレーズ”キラーフレーズ”って??
さて、お次は”キラーフレーズ”についてです。
これもいわゆるビジネスの業界、特にマーケティングや営業職の方がテクニックとして使うものですが、その名の通り「殺し文句」として使われる言葉のことを指します。
聞いた人が思わず反応してしまうような言葉で、ただインパクトを与えるだけでなく、それを聞いた人が「買ってみよう」と決断するのに繋がる影響力を持つ言葉です。
お客様の商品への購買意欲を掻き立てて購入を促したり、購入を迷っていたり、不安に思っているお客様の背中を押す「最後の一手」といった感じですね。
絵を販売する現場においてもこの定義は同じです。
講義-第39回-作品を買いたいと思わせるクロージングとキラーフレーズクロージングで使いたいキラーフレーズ 11選
実際のクロージングで、自然かつ、ウソなく使えると刺さりやすいフレーズを集めました。
噓も方便とは言いますが、ウソはダメです(^^:)あくまで、真実に基づいて使ってください。(笑)
ここで挙げたフレーズの共通点としては、「希少性」と「時限」についてを強調して”買いたい!”と思う気持ちをくすぐるものが多いですね。
➀「1点物の肉筆画です。」
→「希少性の高いものである」というアピールは必ず外さずにしたいです。
→複製画ではなく、”世界にこの1点しかない”という強調ですね。
➁「今回の展覧会の一押しです。」
→全部の作品に対して言うのはNGなので、心から押せる作品を選んでおいて使うべきフレーズです。
➂「特に気に入っている作品なので、今回のDMにも掲載した作品です。」
→改めてDMを見せながら使いたい一手ですね。
→DMに選んだ作品は「代表作=自信のある作品」だと思って見てもらいやすいので、これはかなり万能なフレーズです。
④「実は、今回並んでいる作品の中で一番時間がかかって、やっと出せた作品なんです。」
→「この1点は、手間がかかって苦労して完成できた作品である」というアピールです。
→人は”自分に出来ないもの”や”こと”に価値を感じてその対価にお金を支払う感覚を持っているので、お客様が”この作品いいな”と思った理由を「手間のかかった、いいものなんだ」という理由で補完して購入を後押しするためのフレーズですね。
⑤「展覧会のギリギリまで手を入れていて、やっと完成したばかりの作品です。」
→「この展覧会で並んでいる作品の中でも、一番新しくて鮮度が高い作品=真の新作である。」というアピールですね。
→または、ギリギリまで手を入れていてつい最近まで描かれていた作品だと思うとグッとくる方は多いようです。
→絵を買い慣れている方(コレクター)はもちろんですが、そうでないような方にもけっこう刺さるので嘘にならないなら使いたいです。
➅「今回のこの(展覧会の)開催地にちなんだ題材で制作した作品です。」
→「この場所で展覧会をしているからこそ」という限定感(希少性)をアピールするフレーズです。
→逆にこのフレーズで刺さることを考えて、1点くらいはこういう視点で作品を制作するのもテということです。
⑦「今回の展覧会に合わせて初めて選んだ題材(モチーフ)です。」
→「普段は選ばない題材だけど」「この展覧会だから」”わざわざ”というのがポイントです。これも希少性ですね。
→特にこれは、自分の作品を既に1点以上所有しているお客様(顧客)に刺さりやすいです。
→➅同様に逆にこのフレーズで刺さることを考えて、1点くらいはこういう視点で作品を制作するのもテということです。
⑧「以前もこのモチーフ(題材)が好評でお嫁に行ったので、今回のためにも用意したんです。」
→いいなと思っているけれど、迷っているようなお客様に購入の後押しをするフレーズです。
→人気があるものや、ある程度そのあたりの価値が担保されていることをアピールすることになるので、”希少性”とは逆のことを言っていますが”人からの評価”を気にする人が日本人は多いのでこれも刺さりますね。
⑨「”いいな”と思った直感って大事ですよね。」「最初の直感でどれにするかを選ばれる方は多いですよ。」
→こちらもいいなと思っているけれど、迷っているようなお客様に購入の後押しをやんわりとするフレーズです。
→ここに加えて、もし他の作品と比較して見ていたりするような素振りがあるようなら、「どの作品と迷っていますか?」と聞き出していくのも有効です。
➉「すぐにお持ち帰り頂いて、このまま飾れますよ。」
→厳密に言えば、額装などが完了していて飾れる状態、状況にできている作品の場合だけに限られるフレーズです。
→「欲しい」と思ったときにすぐ持って帰れる状況は、お客様の熱が冷めないうちに決断してもらうのを後押しできます。こちらはそのための準備もしておきましょう。
⑪「こういうものって、”出会い”ですからね。」
→「今、この展覧会でしか買えない」・「ここでの巡り合わせも何かのご縁」という限定感を演出するフレーズです。
→「観光先の記念」や、「たまたま寄った出先だった」などで刺さる方が多いですね。
講義-第39回-作品を買いたいと思わせるクロージングとキラーフレーズまとめ
お疲れさまでした。
いかがでしたか?
今回は
作品を買いたいと思わせるクロージングとキラーフレーズ
をお送りしていきました。
「正直、作品解説は作品について語ればいいからいいんだけど、このクロージングがなぁ・・・・。」という作家さんは非常に多いです。
いや~、わかります。(^^:)実際にクロージングは何かを販売している人たち(営業)がほぼ必ずやっていることであり、そういう接客を消費者側として日常では受けたりしているとはいえ、いざ自分が販売を仕掛ける側となって自分の作品を薦める・・・ということになるとなんだかやりづらい・・・。
これはけっこうあるあるで、遠慮みたいなものをしてしまう方が本当に多いです。
とはいえ、自分が作家として誰に見せても恥ずかしくない、自信のある作品を世に出していくことをしていれば「こんなに値段を付けていいんだろうか」とか「人に有料で薦めていいんだろうか」という何か一種の”遠慮”や”後ろめたさ”みたいなものはそれだけでも払拭できるはずです。
作家自身が自信を持って提供できる作品を出せているかは、接客しているときの態度に少なからず出ますし、自信のなさはどこかなんとなくでも伝わってしまうものです。
この「クロージングをする」ということを踏まえて、それを堂々とできる作品を今の自分ができる精一杯で提供できているかを振り返るきっかけにもしてほしいですね。
また次の講義でお会いしましょう!
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(※講義内容の参考にさせていただきます。)