【展覧会で受注オーダーをゲットする➁】講義-第45回- オーダーお取引のスムーズな手順とキャンセル事例
講義第45回の今回はオーダーお取引のスムーズな手順とキャンセル事例です。
今回はスムーズな受注オーダーのための取引の流れと、実際にあったキャンセルの事例などを解説していきます。
前回講義 講義-第44回-受注オーダーゲットのための準備と決めておきたい項目 で解説した決めて準備しておいたものがあれば、オーダーについては今回の流れと合わせてバッチリな状態が作れます。
ではでは、早速いきましょう。
講義-第45回-オーダーお取引のスムーズな手順とキャンセル事例受注オーダーのスムーズなお取引き手順
- ➀描くもの(題材やモチーフ)・作品サイズのヒアリング
- ➁オーダー料金と画料の確認
- ➂オーダー後の流れと納期の確認
- ④規約書・同意書の読み合わせと記入
- ⑤発注書の記入→取引開始
- ※ヒアリングが十分でない・再度確認の場合にはこのタイミングでメールにて追加ヒアリング
- ➅ラフ案(下描き)開始
- ➆ラフ案(下描き)のOK打診のやり取り→決定
- ➇本画制作 開始~制作期間(額装も)
- ➈納期・完成作品の引き渡し→お客様からの入金の確認
- ➉取引完了・お礼状
➀~⑤に関してはできれば展覧会会場で直接会っている時に行えるのが理想です。それ以降はメールかSNSのDM(ダイレクトメッセ―ジ)上でやり取りを行うことになります。
➀描くもの(題材やモチーフ)・作品サイズのヒアリング(要望を伺う)
→展覧会会場での場合には実際に展示してある作品をもとに「こんな感じ/このモチーフで・・」とか「このくらいの大きさで・・」など聞いてみたほうが早いです。
→メールやSNS上で連絡をもらった場合には作品画像をSNS上にアップしてあるもので確認してもらうのがいいでしょう。または、メールなどでいくつか画像を送るのもアリです。
→この段階でお客様の描いているイメージや描いてほしいと思っているものが何なのかがはっきりしていれば後が楽ではありますが、ギチギチに決めなくても大丈夫です。(取引成立後にメールで追加ヒアリングをすればOK)
→ポートフォリオ内の過去作品はお客様のイメージを固めてもらうためにも一役買うので、見てもらったほうがいいです。(これも用意すべき理由の1つですよ~)
→聞き出したいのは
・何を描いてほしいのか(具体的なモチーフや状況・色など)
・作品サイズは何号がいいのか(号じゃなければ規模感)
➁オーダー料金と画料の確認
→ここで価格表の出番です。もし無い場合、会場であればサイズと金額を展示してある作品を参考に伝えてもOKです。
→オーダー料金については、価格表があるならそこに表記しておくと分かってもらいやすいです。余裕があれば枚数を刷っておいて渡してあげられると◎。
→価格表がない場合にはオーダー料金を取る場合には必ずここで伝えましょう。
→オンライン上でやり取りをする場合は価格表を送るか、メッセージ上に金額をベタ打ちしてしまうかするのがはっきり提示できていいです。
➂オーダ後の流れと納期の確認
→今オーダーすると作家側の制作期間がどれくらいかかり、いつ頃納品できるのかを伝えながらお客様の都合を確認して擦り合わせます。
→もしここで制作時間的に間に合わない納期になってしまう場合は断ることも大切です。
→この取引の流れの全体を説明、特に取引開始後の➅~⑨の流れを説明できればOKです。以下↓(できれば期間も説明できると安心してもらえると思います。)
〇取引開始後の流れ〇(例)
①ラフ案(下描き)開始 (ヒアリング最終確認後から)
- ➁ラフ案(下描き)のOK打診のやり取り(ラフ案修正〇回まで)→決定 (大体2~3週間)
- ➂本画制作 開始~制作期間(額装も) (ラフ案決定後から〇ヵ月~〇ヵ月)
- ④納期・完成作品の引き渡し→お客様からの入金の確認(〇月頃)
- ⑤取引完了
④規約書・同意書の読み合わせと記入
→講義-第44回-受注オーダーゲットのための準備と決めておきたい項目 この解説内で決めた項目を一覧にしてプリントアウトした規約書・同意書をそれぞれ2枚もしくは3枚分(お客様・作家・会場)用意して読み合わせをしてOKならサインしてもらいます。
→ここで疑問や認識のズレがないようにしっかりと最終確認の念押しと同意を得ておきましょう。
→作成していない場合は口頭で説明しながら発注書の備考欄に書き込みをしておくといいです。(最終的に書いたものをお客様に渡して、コピーを取るかスマホで撮影をしておきましょう)
→オンライン上やメールでのやり取りの場合には、規約書・同意書を送るか、内容をベタ打ちして了解の返信をもらいましょう。
※万が一の時のために、メールややり取りは消さずにとっておきます。
⑤発注書の記入→前金入金→取引開始
→ヒアリングの内容・作品サイズ・オーダー料金や画料の金額・お客様情報(住所・氏名・連絡先)の記入→前金の入金をしてもらって取引の開始とします。
→合計金額の記入と備考欄に前金の金額(内訳:画料の何%+オーダー料金)などもここで記入しましょう。特に規約書がない場合、話をまとめながらお客様の目の前で書き込むのが重要です。
→規約書・同意書が無い場合は備考欄に重要な決め事をしっかり記入しましょう。(キャンセルのことや、ラフ案〇個提示、ラフ決定までの修正対応回数など)
→ヒアリングの最終確認・ラフ決定のやり取り・入金確認などのために必ずメールアドレスはもらいましょう。(もし無理な場合は住所・電話番号だけでもOK)
→講義-第44回-受注オーダーゲットのための準備と決めておきたい項目 発注書はこの回の添付付録になっているものをそのまま使ってOKです。
- ※ヒアリングが十分でない・再度確認の場合にはこのタイミングでメールにて追加ヒアリング
→①の段階だけではヒアリングが足りなかった場合や、ヒアリングの内容の最終確認としてこのタイミングで連絡を入れられると確実です。
→このヒアリングをしてからラフ案の制作を開始するくらいでいいと思います。
➅ラフ案(下描き)開始
→「規約書」または「口頭で説明+備考欄記入」で案をいくつ出すか決めていたらその分を制作します。
→作家によってそれぞれですが、線画のみ・多少の色付き、どちらでもいいですし、究極お客様にOKを出してもらえそうなものならOKです。最初は線画のみで提示して色を付けてほしい希望が出たら対応する形でもいいかと。
→井上の場合は線画で大まかに支持体の形とモチーフの配置くらいです。
➆ラフ案(下描き)のOK打診のやり取り→決定
→流れの中で決めた期間内を目安に進めて、ラフ案の修正などを行って本画制作OKをもらいます。
→メールやメッセージ内に「ラフ案の提示や修正は〇回までいたします」と添えておいたほうが無難です。
→メールにラフ案を添付してお客様に確認してもらいながらの作業なので、お客様の返信が遅い場合に本画制作の期間が削られてしまう場合が。それを回避するために本画制作の期間を「ラフ案が決定してから」という文言を入れておくのが効果的です。
→ラフ案の決定が目安の期間を越えてしまった時点で納期は先に延びてしまうので、そのことはラフ案が決定した際にお客様に伝えておくと納期破りのトラブルを避けられます。作家側の落ち度にならないように必ず納期が延びる場合は一言添えましょう。
➇本画制作 開始~制作期間(額装も)
→本画制作中はお客様によって途中で連絡が欲しい方や、連絡を入れてくる方もいるのでその場合は途中経過を伝えるなどの対応をしましょう。
→額装して納品する場合にはこの期間中に額装も済ませましょう。
※額装についてはお客様から強い希望などが無い場合は、作家側の判断で選んでしまってOKだど思います。中途半端に要望を聞いてしまわない方が無難です。
➈納期・完成作品の引き渡し→お客様からの入金の確認
→納期以内に作品を完成・額装を完了させてお客様に直接送るか、会場に送るかします。(会場側がお客様対応する場合)
→入金先が直接作家の場合は振込先もメールで連絡しておきましょう。会場の場合は会場と確認必須です。
→作品の引き渡しと共に入金してもらい、確認が取れればこれで取引きは完了です。
➉取引完了・お礼状
→作品を納品した後日に一筆寄せて送ればOKです。
→お客様との関係性などで簡略化する場合は作品を納品するタイミングで一緒にしてしまってもいいと思います。
講義-第45回-オーダーお取引のスムーズな手順とキャンセル事例実際にあったオーダーのキャンセル理由事例
受注オーダーは作品そのものがその場に無く、購入を決めてもらってから制作するのが普通のため、期間が開いてしまうことでキャンセルが発生してしまうことも・・・。
ここでは、実際にあったオーダーのキャンセル事例を挙げています。
備えをした上で起こってしまったのなら仕方ないです。イレギュラーは何事にも付き物ですからね。
とはいえ、少なくとも作家側からキャンセル理由を作ってしまうようなことはくれぐれも気を付けましょう。
お客様側からのキャンセルが出てしまったとしても、オーダー料や作品価格のうちの何パーセントかを前金として頂くことを徹底していれば材料費や制作のために費やした時間コストへのダメージは多少緩和できることがほどんどかと思います。
- ➀やっぱりいらない・家族から反対のキャンセル
- ➁完成した作品が思ってたのと違うキャンセル
- ➂注文後の作家の態度が気に入らなくてキャンセル
- ④ポートフォリオにあるものと同じ作品→完成品なんか違うキャンセル
- ⑤作家が完成納期をすっ飛ばし→キャンセル
➀やっぱりいらない・家族から反対のキャンセル
最初からまあまあヤバいお客様事例ですが、ままある理由です。(^^:)
高齢の方や、ふらっと会場へ来て受注を決めた後に奥様からの反対でキャンセルになってしまったなどオーダーだけでなく展示作品でも起こるケースがあります。
このキャンセルが起きたのは前金等をもらっていない取引きだったということをよく聞きます。
良くも悪くも取引きに対してお客様側の負担や責任がない分、気軽に注文してしまえる故に生まれてしまうキャンセルです。
もしこれが規約書などを用意して注文を受けた時点で前金を入金してもらっていた場合、キャンセルの連絡をもらったタイミングによってはラフの進み具合や作家側が費やした時間的なコストを説明していくらか前金の返金を検討してもといいと思います。
作家とお客様の間に会場が入る場合には、会場の方針やスタッフさんと相談して対応するのもテです。
➁完成した作品が思ってたのと違うキャンセル
これはかなり、いや、相当ガッカリですが、無くはない理由です。。
下描きでOKが出て、やっとこさ完成して納品したら・・・で起きた悲劇です。。
この場合は前金をもらっている場合にはそれだけ頂いて取引を終わらせるほかありません。なので、前金等を頂いていない場合は完全に・・・ゼロ・・なんならマイナスになってしまいます。。
とはいえ、前金をちゃんと頂いている取引では起きにくいキャンセルです。(・・・金額が大きければないこともないようですが。。)
このキャンセルをしてくるお客様は正直ちょいヤバめな方です。。もし前金の返金すらゴネてきた場合には、面倒なことになるくらいなら全て返金して一切関わらないようにするというのもいいかもしれません・・。
➂注文後の作家の態度が気に入らなくてキャンセル
非常に稀なケースかつ、お客様側が完全にヤバい方です。。
完全に言いがかりだったり、ギャラリーストーカー的な行為で作家を困らせた末に起きていたキャンセルです。
これこそ関わると無駄に精神的にも削られてしまいますから、前金を頂いている場合には返金してしまって金輪際関わらない方向がいいです。
会場がお客様とのやり取りの間に入ってくれる場合にはやり取り自体をお願いしてもいいと思います。
「私達は作家として何か言いがかりを付けられるようなことはしない」ってことを大前提にしてのお話ですね。
④ポートフォリオにあるものと同じ作品→完成品なんか違うキャンセル
これも少なくない、キャンセルの理由です。
展覧会のポートフォリオで見た作品の中から「これと同じものを描いてほしい」という依頼で制作をしたら、「なんか見たものと違うからキャンセルしたい」これです。。
お客様の記憶の中で美化されたり、ポートフォリオの画像自体は色調とか明瞭度をほんの少しいじっていたりする場合もあるので起きてしまうキャンセルかもしれません。
そもそも、1点物を販売しているスタンスを取っている場合「以前描いたものと同じものを描くか否か」は決めておいたほうがいいです。
もし同じものを描く場合には「私は機械ではなく、完全な肉筆画なので厳密に言って全く同じものは描けないけれど、それでもいいか」くらいに念押しするくらいで受けるべきですね。
ちなみに、井上の場合にはよっぽどのことが無い限り描かないようにしています。
⑤作家が完成納期をすっ飛ばし→キャンセル
これは唯一、作家側からのやらかしパターンです。
受注オーダーは信用問題に関わるので、これは完全に作家がアウトです。
この場合には頂いた前金は全額返金すべきです。
この事例は前金なしで起きた話を聞いたので、やはり作家側も責任(前金)やリスクがないとこうなっちゃうこともあるわけです。
とはいっても、いろんな事情もあったりすると思うので・・・(体調とか)必ず守れるであろう納期までの制作期間を逆算して決めましょう。
講義-第45回-オーダーお取引のスムーズな手順とキャンセル事例まとめ
お疲れさまでした。
いかがでしたか?
今回は
オーダーお取引のスムーズな手順とキャンセル事例
をお送りしていきました。
オーダーお取引のスムーズな一連のこの流れで進めつつ、オーダーにあたっての決め事をお客様との間ではっきりとさせておけばそうそう揉めることはないでしょう。
ただ、”絶対!”ということはないですから、備えはしていてもこういうキャンセルの事例はあったりするよ~ってことでした。
オーダーを受けるにあたっての”ルール”と”流れの型”を決めて、お客様と作家間(場合によって会場も)で共通の認識のもとで取り引きを進めていくのが重要です。
お客様との関係性や、状況によってケースバイケースで対応することもあると思います。そういう場合には、今回の解説した一連の流れは”1つの型”として参考にしてみてくださいね。
講義-第45回-フォーム
ご質問・アンケート(あれば)
今回の講義内容での質問などあればこちらにお願いします。
あなたやこの講座で学ぶ仲間にとって、充実した講座を作っていくためにあなたの抱えている悩みやギモンをぶつけてもらえると嬉しいです。
(※講義内容の参考にさせていただきます。)